2008.06.02

保守点検はやはり必要だ②

先日の、産総研の加藤和彦先生の朝日新聞のオピニオン欄が気になっておりました。
http://homepage2.nifty.com/domi/jigyougaiyou/c20080515ASAHI.pdf

太陽光発電を取り巻く諸問題、事情は簡単にはまとめ切れません。
大変重要な問題提起だったのにも関わらず、あれでは紙面が足なかったのではないかと感じてきました。
それでご多忙のところ無理を申しまして、加藤先生に「本当の私の視点」を書いていただきました。早速、ここに掲載させていただきます。


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本当の「私の視点」-加藤和彦

     太陽光発電システムの「品質」

昨今、食品や建築構造物、再生紙などの工業製品の品質問題が社会を賑わせています。このような状況の中で、私は自分が研究対象としている太陽光発電システムの品質について、改めて問い直しています。一般に太陽光発電システムには環境に優しいという選好的なイメージがあり、それは技術論としては間違ってはいないでしょう。しかし、太陽光発電システムの工業製品としての品質は、それとは区別して議論されなければなりません。

一般社会において、太陽光発電システムの品質とはどのように考えられているのでしょうか。おそらく「発電効率」と思っている国民が多いのではないかと思うのですが、実はそうではありません。たとえば、ここにともに発電容量4kWの太陽光発電システムがあったとしましょう。価格は同じで、一つは発電効率20%のパネル、他方は効率10%のパネルを採用したものです。さて、皆さんはどちらを購入しますか。大多数の方が発電効率20%のパネルの方を選ぶでしょう。しかし、実際はどちらも4kWの発電容量ですから、基本的には同じ日射条件では同じだけの電力しか生み出しません。発電効率の良否は4kW分のパネルの面積に影響するだけです。

国土の狭隘なわが国では、今後とも住宅分野への太陽光発電システムの普及が鍵となりますので、そのユーザとなる国民一人一人の理解が大変重要です。これは比較的規模が大きく事業として導入されることが多い風力発電などとは本質的に異なる太陽光発電システムの特徴の一つです。したがって、太陽光発電システムの品質は、国民の観点から議論されなければなりません。太陽光発電システムが国民に提供しなくてはならないのは、それが生涯に生み出すクリーンな発電電力です。したがって、過酷な屋外環境下でいかに長期的な性能を維持できるかということが、より重要な太陽光発電システムの品質なのです。

     太陽光発電システムの保守点検の現状

しかし、現実の太陽光発電システムは、これまでの一般家電製品にはないいくつかの特徴をもった工業製品であるために、ユーザ自身が太陽光発電システムの「品質」の良否を判断することができない技術なのです。

まず、第一に太陽電池パネルが屋根上というユーザの視野外にあり、運転中は無音・無可動であるということ、第二に発電電力が気象条件に応じて時々刻々と変化すること、第三に同一製品であっても設置地域や設置姿勢、陰となる周辺障害物の有無などによって発電量が異なること、そして、最後に運転に際してユーザが操作をするということがほとんどないこと、です。

実際に、約4年前に当所に設置された太陽光発電システムでは、およそ5600枚の太陽電池パネルのうちの100枚以上、211台のパワーコンディショナのうちの約20台がすでに交換されており、今なおその数は徐々に増加しつつあります。また、昨年には一部のシステムの業者点検が実施されましたが、パネル・パワーコンディショナとも故障なしとの点検結果でした。しかし、点検されたシステムの中には、私が別に行った調査で数枚のパネルが故障していることがわかりました。点検業者は業界が推奨する保守点検ガイドラインに則って実施したのでしょうが、極めてお粗末なレベルと言わざるを得ません。

結局のところ、太陽光発電システムについてはメンテナンスの必要性が十分に認知されておらず、法的な義務付けもないことから、定期的な保守点検の実施は徹底されていません。また、現行のガイドラインに示されている点検項目も、故障の有無を積極的に見つけるには不十分な水準であり、技術者の意識・知識、装備も不足しているのです。

太陽光発電システムも人間のつくる工業製品であるからには保守は不可避です。ましてや過酷な屋外環境下で20年以上の運用や期待されているのです。現場での性能把握が難しいからといって、行政も業界もそれを避けてはいないだろうか。

     PVRessQ!

ここまでに述べたような問題意識から、私は2年ほど前から太陽光発電システムの耐久性や故障診断方法の研究を始め、その基本情報を得るために太陽光発電システムの実性能調査を実施しています。そしてこの活動が太陽光発電システムの信頼性・安全性・持続可能性の向上に役立つことを祈って「PVRessQ!(PV-Reliable, Safe and Sustainable Quality!)」というニックネームをつけています。メンテナンスフリーを標榜して普及を進めてきたこともあってでしょうか、残念ながら、政府、業界、そして私の研究所にも理解してもらえず、また、ただのボランティア活動だと曲解している者までおり、公的な研究予算はありませんが、まさに「捨てる神あれば拾う神あり」とはこのこと、この研究活動に賛同してくれた多くのユーザからの寄付金に支えられ、わずかずつではありますが故障事例が蓄積されてきました。その多くは保障期間内のパネルであり、ユーザさんに驚かれる場合もしばしばです。これからも地道に調査を継続し、実用的な故障診断方法とそれを支える社会システムを提案していきたいと考えています。

     太陽光発電システムは産業政策ではなく環境・エネルギー政策

最近の国際統計では、わが国が占めていた太陽光発電システム普及量世界第一位の座を独に奪われ、また、太陽電池の生産量第一位も日本から独の企業に取って代わられたようです。これは日本の新規産業振興政策の観点では由々しき問題でしょう。しかし、エネルギー技術政策の観点で私がもっと心配しているのは、太陽電池という工業製品の生産や普及に関する統計がある程度整備されているのに対して、国内に導入された太陽光発電システムから得られたクリーンな発電電力量に関する統計が全く未整備で、これまで国民の血税によって研究開発と普及を進めてきた太陽光発電システムからの発電量を誰も正確に把握していないということです。とうとう今年から京都議定書の第一約束期間が始まってしまいましたが、導入された太陽光発電システムによる温室効果ガス抑制効果をどうやって算定するのでしょうか。それとも、はじめから無視する気なのでしょうか。

     太陽光発電システムの研究開発行政に求められる方向転換

太陽光発電システム普及の黎明期には、研究開発と普及政策とが機関車となって社会を牽引してきましたが、いまその機関車はおよそ40万というユーザを客車に乗せてさらなる未来へ向かっています。にもかかわらず、いまだに飛躍的な効率向上を目指した太陽電池の研究開発ばかりに莫大な税金が投入されています。やや極論かもしれませんが、いまや太陽電池の研究開発は民間主体で進めてもらってよいのではないかと思います。効率が高く安価な太陽電池を開発することがそのまま民間企業としての利益に繋がるわけですから。これからは高額な太陽光発電システムを購入する国民が、その効用を安心して謳歌するための品質向上のための取り組みにこそ税金を投入するべきでしょう。それはつまり、太陽光発電システムの列車の乗客が快適にその旅を楽しんでいるかを最後尾で心配してくれる車掌の役割です。しかし、残念ですが今の列車にはその車掌は同乗していません。私の目下の目標は、PVRessQ!が早くその役割を果たせるようになることなのです。

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先生ありがとうござました。
太陽光発電にはPVRessQ!の車掌車が欠かせません。
大事なのは、設置したあとの”答えあわせ”です。
ユーザーのみなさんも、飽きずに発電データの記録をとり続けてくださいね。
診断をするには前歴に関する記録が大切です。

しかし、何よりその前に、評価(診断)の技術開発をしなければなりません。
その技術開発の先頭に立つのが産総研の加藤さんです。

6月 2, 2008 太陽光発電のニュース | | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.05.30

住宅PVを最優先に!

本当は、住宅の太陽光発電を応援したいなぁ。。。
僕も、住宅PVをやりたいし。

だけど、食えないから業者はどんどんやめてっちゃう。大抵は本業に戻っちゃう。大抵の人は片手間ですし。そうでなきゃ、新手のマーケティング手法を携えた一発屋の栄枯盛衰を目にするばかりで。

そう言いながらもウチの業務の柱は住宅じゃなくて、PV関係のややこしい設計開発だったり卸販売だったりするわけでして。。。ウチは、FA屋なのか電子屋なのか電気屋なのか。。。
食えては居るし面白いんだけど、このままじゃ日本の未来にとってダメなんだなぁ。
自分のウチが辛うじて食えているというだけじゃ、ダメなんだなぁ。
自分のことはいいから、それよりも人を育てないと。
しかも住宅をちゃんとやれる人を!!

日本の未来、エネルギー戦略を考えると、やはり住宅PV。
いろんな業者が広く取組めるような形であってほしい。
競争結構!!(但し、材料の販売価格じゃなくて中身の競争)

でも、新参者にはとても食えないのが問題。。。
彼らには、縁もないし技術も無いし。。。

すると、ユーザーもメーカーと業者とがWin-WInになって継続性がもたらされないとならないわけだけど、現実は、補助金系のシャブ中系の取り組み、あるいは一発屋ばっかりになっちゃう。これって継続性がないんだよねぇ。メーカーに流動性の悪い預け金を取られるだけで(汗)

一方、FTってのもありますね。事業者向けです。でも、事業者≒企業(大抵は大きな企業)そこそこの資金を持ってますし、社会にアピールしたりするためにPVをやるのはもうあたりまえ。ひょっとすると彼らにとってのPVはポーズに過ぎなかったりする。自腹でPVを導入できない企業はその程度の業績なのだし、補助まで得てPVを導入するってどうなんだろう?国も、これは予算配分が変じゃないか。

僕は日本国民として、日本のエネルギーを考えた時に、住宅の省エネ、創エネをPVを通して、ゆるぎないものにしたいと、と思う。
住宅PVをやらなくちゃと思う。これってベースなんですよ。
いくら日本の太陽光発電ビジネスが割に合わないからといって、外貨稼ぎに集中している場合じゃないな、と思う。

日本のためには、住宅の太陽光発電を一から十までちゃんとやれる、そんな業者を育てたいなぁと思う。今のところうまく行かない。
専業者同士が互いに会おうってったってカネも時間もないし、なぁ。

どうやら、PVって、多くの事業者にとっては、片手間なんですよね。
商品を売るっていう商社機能に留まっているというか。。。

シツコイけど、日本のエネルギーの未来とか電子技術開発のアドバンテージ、建設技術の底上げとか考えるとやっぱり住宅PVが最優先されるべきだと思う。ちゃんとWIn-WInになるような業界の形が要る。その形って、僕にはまだ見えないんだけど。(政治は出来ないだろうな。僕は)

5月 30, 2008 人間的な、あまりにも人間的な | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.21

PVグリーン計量法阻止ちょっと待った!

計量法適用もちょっと待った!!
計量法適用阻止もちょっと待ったです!!
技術的なこと、コストのこと、売る側買う側の立場を考えると、オールオアナッシングの議論じゃないんです。
実際に検定済み測定器で比較すると分かりますが、パワコンの積算表示は多いのも少ないほうもあります。機種によっては値が大きく狂ってます。

だから、PVグリーンを買う側のことを考えると、計量法の枠組みはさておき、全く検定なしというのはムチャです。かと言って、売る立場になると、検定メーターの設置費用は、数万円~数十万もかかります。しかも計器損失もあります。接続点が増えることにより事故リスクも増えます。また、計器設置に要する費用差は現地状況に依存するため販売者同士の不公平感も大きいものです。

私はこのような状況を仲裁しWin-WInを目指しために、”ある方法”を提案します。
・PVグリーンを買う立場にしてみれば、真値よりはるかに少ない量を買わされる可能性があるのはたまらない。
・売る方も、より多くのプロフィットを得たいから検定計量器など付けたくない。(①検定器の工事費用は高い,②工事費用には現場ごとのバラツキが非常に大きい)

「ある方法」とは割引制度です。
現状ではパワコン積算表示を基準にやってます。
しかしこれはパワコンの誤差がひどいので商取引として不公正です。買う側にしてみれば、真値より多い場合は構わないが少ないのはたまらない。売る側にしてみれば、精度を追求しても、精度に要する費用は自分持ちかつ多大。
ならば、
・PVグリーン販売者は検定器を設置しない。
かつ
・パワコン積算表示×0.8~0.9くらいを正規量と定めて取引する。
このようにやるのがベストでは無いかと考えています。

それぞれのメリットを整理すると、
PVグリーン販売者側のメリット
・計量器をつけないことによる不要コストの削減。
PVグリーン購入者側のメリット
・ミニマム管理された量が買える。

双方の総コスト対効果を考えると、落ち着きどころはこのあたりになるはずです。
1年前から主張してるのですが、誰も気に止めてくれないので書いて見ました。批判すらないのです。議論が不十分だと感じます。
パワコンメーカにも「パワコン自体に検定が取れないのか」と問い合わたこともありましたが、ロジコストが無駄にかかるのでソリューションとしてうまく行かないとの回答でした。私もそう思います。

5月 21, 2008 問題提起 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.16

保守点検はやはり必要だ

朝日新聞に産業技術総合研究所の加藤和彦博士の記事が載っていました。
公の立場から初めて太陽光発電のメンテナンスフリー伝説に一石を投じたものとして大変貴重です。
http://homepage2.nifty.com/domi/jigyougaiyou/c20080515ASAHI.pdf

ここでは、以下語られています。
●加藤博士の日常活動
氏の意思、ユーザーの協力に支えられた、独自の実態調査
●問題提起
太陽光発電は大変高価である。
にも関わらず定期点検など保守に関する意識が浅い。
●裏づけとなる”あるエピソード”
あるユーザー宅で発電量低下が発生。
業者の点検では異常なし
パワコン交換費用35万円の見積だけ業者から送られてきた。
博士が現地を調査するとコネクタ抜けだった。
※既知の調査方法では誤診断する例があることの暗示
●状況認識
メーカや業者が故障や不具合の発見につとめるべき。
しかしながら
・法的義務付けが無い。
・技術者の意識や知識、装備は不足している。
・既知の点検項目も故障の有無を積極的に見つけるには不十分な内容である。
上記背景から、トラブル、事故の未然防止、発見は到底かなわない。
●意見
・確かに、太陽電池は”原理的には”メンテフリーである。
・しかし工業製品としての太陽光発電システムは(これまでの博士の調査では)メンテフリーであるとはいえない。※1
・”システム”はメンテナンスが必要。
・しかし現場での性能把握が困難なことを理由に関係者はメンテナンスを避けていないだろうか。
・行政や業界が、保守点検システムの構築、技術者の育成に積極的に取組むべき。
・設置しておしまいではなく、設置してからがはじまりである。※2

※1
太陽電池原料は、シリコン、いわば石である。だから壊れにくい。
しかし、”石”から有効電力を取り出すには電極形成、配線、電力変換など石ではない技術、素材と関わりあう全体、即ち”システム”が必要。この全体は、”石”より弱い。博士の指す工業製品とは”石”単体でなく”システム”である。
※2
kWという指標に代表されるシステムを設置してもそれは機材の量に過ぎない。kWを発電する最大能力に過ぎない。実際のシステムは、設備規模の大きさで量られるべきものではない。一台の10kWディーゼル発電機を考えてみよう。その生涯に1時間しか運転しなければ10kWhの価値しかない。かたや1kWの発電機が10時間運転したらどうだろう、やはり10kWhと同等である。太陽光発電システムは日射とシステム構成に応じて刻々と発電量が移り変わる。この変動のコントロールはシステムが預かる。太陽光発電システムにとっては、太陽電池そのものの量ではなく、太陽光発電システムが生む発電量がすべてなのである。必要なのは設備規模ではない。その設備の供用期間内に発電する量なのである。

原文は用語の平易に比して非常に難解だが、ここでは二つのことを示唆している。
①メンテナンスによって生産量を伸ばすことの重要性。
②メンテナンス方法を確立することの重要性。

システムに関わる諸氏にとって興味深いのは②だろう。
方法がわからなければ、①はかなわぬからだ。
②について、他のエピソードを別項でご紹介してみたいと思う。

5月 16, 2008 太陽光発電のニュース | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.14

技術情報の公開に関して

例えばパワコン。
部分負荷効率に加えて、Vin何ボルトでそうなのかといったデータが欲しい。
そうでなければ、どうシステムを組もうが同じということになる。
そんなわけ無いでしょ。
ηEU = 0,03η05 + 0,06η10 + 0,13η20+ 0,10η30 + 0,48η50 + 0,20η100

例えばモジュール。
温度係数くらい欲しい。温度を考えなければならないとき、海外のを見てる。
めんどくさいし、合っている保証がない。

例えば架台。
梁の断面情報が欲しい。無ければ、怪しいと決め付けるしかない。
表面処理の情報も欲しい。どのように腐食するかの見当をつけたい。

もっとも有用なのは、どうしたら壊れたかという事例集かもしれない。
同じ失敗を繰り返さないほど、効率的な仕事法は他に無い。
PVを長持ち、よく発電させることを目的にするならば、これが情報公開の第一ステップ。

発電性能がどうのこうのなんてのは、第二ステップ。
既製品でより良いシステムを組もうとしても、情報が少なすぎる。
そして、もっと人材を育てないと。

だが、人材を育てるといったところで、PVの世界は用語統一すらできてなくて、同業者同士の会話もなかなか成り立たない。僕等はいつまで造語をひねりだし続ければ良いのだろう。システム内容をめぐってユーザーと全うに対話するなど、まだまだ先のことだと思われる。

5月 14, 2008 問題提起 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.03

再生可能エネルギーの導入拡大についての要望書

平成20年4月28日に八都県市首脳会議が環境大臣、経産大臣宛に要望書を提出しました。
http://www.pref.kanagawa.jp/press/0804/071/youbousyo.pdf

2 太陽光発電や風力発電などが、制約なく受け入れ可能となるよう電力系統の適切な運用を図るとともに、その整備や技術開発を促進すること

上の項目にちょっと期待。

これまでもずっと行政は普及促進の旗振りをしてくれました。
それはボトルネックを解消しようと言うものです。何が普及を阻害するのか、というと決まって太陽電池コストのことでした。住宅用システム一式数百万もかかるのでもう少し安くなれば消費者は導入しやすい、と。今もなお、安くなれば普及するだろう、という観測が一般的です。
だから行政はメーカーとユーザーに莫大な補助金を与えてきたわけです。果たして系統連系太陽光発電システムは、90年代よりも大分安くなりました。しかし、もっと加速的に普及させようとすると、どうも、これだけではうまくいかない。カネの問題だけじゃないらしい。

実際に太陽光発電を設置するとなると、住宅ですら2週間~数ヶ月という期間、そしてこの間、多大な事務手間がかかるのが現状です。システム設計を除くと、その内訳は連系のための技術協議(時にはユーザーと電力会社の利害調整)になります。議題の主たるものは、電圧上昇抑制問題と保護協調問題です。対策するには、電柱を建てるかどうか、トランスを移動するか、新設するかなど大掛かりな話になってきますので、そうそうぱっぱとはやれない。このように、導入拡大への障害は太陽電池コストだけじゃないんですよね。これらは以前からあった問題ですが、太陽電池が随分安くなったので相対的に浮上してきたわけです。

だから、インセンティブを付与して資材コストを下げるという従来のやり方は、もちろん、普及に向けた行動には違いありませんが、部分最適の議論に過ぎないのです。むしろ、こんな風では、他の障害への認識が逆に薄れてしまう弊害が認められる。

八都県市首脳会議は、そういうこともちょっとは気付いてくれたのかな、と思いました。ただ、誰が財源を出すんでしょうね。

それともこれは、複数の分散型電源の同期ロック運転をもう少し簡単にすることを目指しているんでしょうか。

5月 3, 2008 太陽光発電のニュース | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.01

2007年度のまとめ

Bunkatu 今更ナニですが、昨年までのわが国での導入状況についてメモ。(住宅です。単位はkW)
左図のように、一年間に導入される設備容量の合計は、2005年をピークに落ちて来ています。本当は、設備容量など詮議すべきではなく発電量を問わないとならないのですが、統計がないのでよくわかりません。今後は統計が要りますね。CO2削減だなんだかなんだと言って拡販している割に、日本の太陽光発電システム全体が京都議定書でどのくらいのポイントになるか、現状では全く不明です。(←冷静に考えるとずいぶんいい加減なマーケティング・・・)

セル生産量も、長年シャープが世界首位でしたが、昨年ドイツのQcellsに抜かれています。普及拡大を目標に掲げる人々、特に行政関係者はきっと頭を抱えていることでしょう。3/2008のPI誌の表紙などもう、日本人には屈辱的です。相撲のまわしをしたAntonMilner氏が横綱風の浜野氏を踏みつけてガッツポーズを取るというイラストなんですから。そしてQcells is the new No.1とのキャプション。とかく最近のPI誌は下品ですね。その中国タタキ、日本タタキは、悪乗りに近いものがあります。中国人を中国製モジュールの傍に立たせ、ドイツ人をドイツ製モジュールの傍に立たせた写真を撮り、ドイツ人は中国製モジュールを信用しているか?なんていうアンケート結果を掲載したり悪ふざけがひどい。株価操作もしてるんじゃないかと思っちゃう。

久しぶりですが、どのメーカが良いかと言う質問が相変わらず一番多いのでこれもまとめます。
系統連系用太陽電池は三洋。設備容量あたりのyieldが他メーカーの製品よりはるかに大きいのです。モジューリングの間違いによる不具合も非常に少ない。また、モジュールあたりのセル数が多いのでアレイミスマッチになりにくく、電気設計が非常に楽です。太陽電池自体のWp単価は高いのですが、電気設計に要する時間が少なくて済むのは本当に助かります。(※モジュールのセルが多いこと自体は決して良いことではない。あくまで三洋のシステムが一般的業者にも使いやすいということ)

接続箱は三菱。鉄箱なので事故時にも火災が広がらないのが良いですね。部品配置のシンプルさもあって施工・点検・施工のしやすさはナンバーワンです。BLDの放熱もよく出来ています。パッキンがないので工業地域では塵埃の堆積がひどいのがたまに傷ですが、他メーカの出来がひどすぎるので自動的に三菱製がトップになってしまうという感じもします。
インバータも三菱。実測すると分かるのですがその変換効率は、カタログ値よりも優れています。これもそもそも、JISがインバータ性能をきちんと評価できない内容なのが問題なのですが。また彼らの製品は古くからのラインナップを通して故障が少ないのも良いですね。工事もしやすい。一番やりやすい。
架台は、どのメーカーも、純正品はほめられたものではありません。コストダウン圧力がよほどひどいのか、大抵の場合、ミニマムかミニマムすら下回るくらいで出来ているので鉄工所のオヤジや僕が作ったものの方が上等です。また、日本のメーカー品はパラメータが非開示なため、構造計算が出来ないという重大欠陥があります。こんないい加減なものは、売らないで欲しい。ワカランものを買って得する人は居ないのです。
太陽電池の出力ケーブルやコネクタも、太陽電池メーカー純正品は概してほめられたものではありません。強いて言えば、シャープの現行型の7ストランド品でしょうか。あのコネクタは世界中で実績があるベリ銅品です。接触圧と抵抗値の変化が少ないので安心できます。ただし、あれはブーツにクリック感が無いので、素人工事人を連れてゆくと間違いの元になることがあります。また、どのメーカーにも言えるのですが、プレアッセンブリ品は定長なのが困ります。毎日毎日工事をやっているとあっと言う間に、ワンボックス満タンのハギレケーブルが溜まります。無駄ですね。無駄にゴミを出して環境だなんだとほざく矛盾は許しがたいものがあります。業者が必要長をセルフアッセンブリするのが一番です。

こんな感じですかね。しかしこれらは資材の評価に過ぎません。システムにとっては適材適所が肝要なのです。
系統連系のソリューションだと京セラが良くできていると思います。簡単な配列ならば、誰が太陽電池据付をしてもそれほどアタリハズレがありません。メーカーによる技術情報公開、教育活動が丁寧なんですよね。

ただし、電気設計電気工事はどのメーカー製品であっても、販売施工業者のスキルが利いてきます。架台構造もそうです。たたなづく屋根屋根は皆、形状も構造もまるで違うからです。日本の屋根は特にひどいのです。類型化したくても、そうは行かない。ハウスメーカーの独自仕様が幅を利かせているので、全体としてみればひどくバラバラなのです。メーカー純正架台を使える物件は、全物件のうち半分もいきません。

だから、どんなにメーカーが頑張ったとしても、日本の太陽光発電システムは部品の寄せ集めでは済まないでしょう。あくまで建設だということです。

それからですねぇ。ずっと言いたくなかったんですが、メーカーにもう一言。
闇リコールはもう少し減らしてくれませんか?
度重なる隠蔽工作によってメーカーの信用はガタ落ちしています。しかしそれよりも、情報が遅れると重大事故までに対応が間に合わないことに注意すべきです。今のままでは経産省12品目どころじゃないでしょうね。
また、違法行為を減らしてください。社内で、徹底的にメスを入れるべきです。
日本の行政、日本のマスコミがあなた方に好意的だからっていつまでも甘えちゃいけません。これら倫理問題に比べれば、普及などどうでもよろしい。

5月 1, 2008 太陽光発電のニュース | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.16

電圧上昇抑制②

表題について、年に数回~十数回くらい深刻な相談があるので、簡単な対策を述べます。僕も苦労してきたクチだからです。実にうんと苦労してきました。これまで累計で何百万使ったことでしょう。大抵の相談者は、半分が業者から、半分がユーザーからです。
(メーカー殿があまり気に留めないのが摩訶不思議ですね。前回書いたように”見えていない”からなのでしょうか)

①分電盤インバランス調整
まずは、これをやるべきか、と。
L1~N間が107V、反対側のL2~N間が101Vなんてことはしょっちゅうです。
片側相が高くてもインバータは動作点をIVの右方に取って抑制をかけます。
ですから、負荷の子ブレーカをそれぞれの相に適当にバランスさせてやるのが大事です。
ただし、季節による差があります。抑制は、閑散期ならぬ、低負荷期に深刻になることが多いのです。また、時間帯による差があります。昼頃は負荷が軽いのでどうしても系統電圧が上がってしまう。加えてよく晴れていればPVの電流も多くなるので配線インピーダンスによって電圧が高くなりやすいのです。

よって、警戒すべき季節は、春と秋。時間帯は正午前後。
この時期に一週間程度、分電盤にデーターロガーを設置して、30分移動平均を見てやれば、大分良い方針が立ちます。解析はエクセルで充分です(なお、パソコンのパワーは一定以上必要です。家庭用パソコンだと上手くいかない場合もあります)
気になる費用ですが、ロガー設置+ロガー回収+解析+対策=4日は人件費+交通費+計測機器の減価償却費を見ないとなりません。最低賃金法に違反しない程度でまぁ、15万円+交通費が最低費用というところでしょうか。

なお、ロガーを設置して解析する必要があるかどうかは、ユーザーの協力さえあれば、たった1日で判断できます。ユーザーの仕事は、普段の負荷の模擬です。
でも本当は、売買契約前に、高精度計測器または校正済み計測器で両方の電圧を見ておくべきです。春秋ならば、ちらりと見ておくだけで大分結果が違います。

②宅内幹線増強
日中実際に稼動している負荷容量が少なく、売電の電流に対して幹線が細い(法定ギリギリか、法定より若干太い程度)場合もひどく電圧上昇します。幹線が長すぎる場合も同様です。この場合は、幹線を太くするべきです。家庭内の負荷は増える一方ですから、ユーザーにとっても損な話ではありません。
ただし、現地状況による費用のバラツキがひどいので、よく考えてから実行に移すべきです。5万円~100万円くらい対策費の幅があるでしょうか。
ただし、(太陽光はさておいても)長く住む家では、いずれは必要になる費用です。家庭の負荷はアメニティーによって増える一方だからです。(←地球人としての私は、この状況を容認してません)

③引込み線増強
上と同様です。しかし、ここは電力会社の財産です。だから電力会社の協力が欠かせません。その際に、何でもかんでも電力会社にタダでやらせようというのはどんなものでしょうか?近年、各電力がPVの系統連系約款の中で系統側改修費用についてユーザー負担である、と明言しはじめました。がっかりです。

技術的には、本来、①と②の対策をユーザーがやってから、電力にお願いするのが筋です。でも、業者もユーザーもお行儀が悪いんですよね。自分がなすべきことをせずに「PVの権利を守れ!!」みたいな圧力団体的行動を取ってタダでやらせようとすることがあまりに多いものだから、電力側もうんざりしてしまったんじゃないかとすら思います。
権利ばかり主張し、自分の義務を棚上げしたまま交渉のテーブルに座ろうとするのはいけません。モラルの問題でしょう。
少なくとも、従来の業者やユーザーがもう少しきちんとしていれば、電力もかつてのようにもう少し融通を利かせてくれたかもしれない、と思うことがあります。

電力とユーザー(需要家)を巨人とアリになぞらえた人もありました。
それはそれである意味もっともです。
しかし、要求ばかりで自分は何もしないのでは、なんだか泥棒みたいです。
アリはアリのなすべきことをしてから、交渉のテーブルに着くべきです。

④高低圧配電線張替やトランス移動
これも電力側の財産です。行動は③と同様でしょう。

意地悪でどうしようも無い電力担当者もあります。”お前”呼ばわりする人もあります。この場合はさすがに怒っても構わないでしょうか。しかしただの対立からは何も生まれないんです。本来は、①~④の手順を踏むべきです。

電圧問題については、太陽光発電販売業者、工事業者、ユーザー。どの立場も辛い思いをします。しかし、ぶちきれたりせずに、ちゃんと解決し、ちゃんと声を挙げましょうね。
しかし。。。
実は、何より大きな問題は、これまで電圧上昇抑制問題に困ったことのあるユーザーが、彼自身が黙っていることです。何も行動しないことです。のどもとすぎればなんとやら、に見えます。黙っていれば無いに等しくなってしまう。

電圧上昇抑制問題は、法律の問題ですから、本来、誰が悪いのでもありません。
だからその対策費はなんとなく、工事業者の自分の給料や電力会社から出ています。一方、販売業者やユーザーはこの間、何をやっているのでしょうか?何もせず文句を言うばかり。でも、解決すれば、手のひらを返すように大満足♪
これはあんまりです。もし問題が解決したら、新聞投書なり、メーカーへのクレームなり、議員への働きかけなり。。。販売業者やユーザーにも行動して欲しい。

電圧上昇抑制問題は、これからも、誰もが巻き込まれるリスクがあります。
法律が分散型電源の現実に即していない以上、これは社会問題なのです。
たまたまあなたがこの問題の中心に巻き込まれた時、あなたはうんと苦労することでしょう。「PVなんて設置するんじゃなかった」と後悔すらするかもしれません。
しかし実際、この問題は、関係者の努力によって少しずつ解決します。

ここからはユーザー様へのお願いです。
改善が見られた場合、変に満足しないで下さい。色々な立場があなたとこれからの太陽光発電のために寝食を忘れて手弁当で改善に取組んできたのです。それをどうか無にしないで下さい。
つまりこういうことです。
「ユーザーのあなたも働いてください。」
今後のPV設置者のために、労力(社会投資か金(仕事をした人への支払い)か、どちらかをやって下さると嬉しく思います。のどもと過ぎて忘れてしまうのでは同じことの繰り返しです。誰もが自分だけ解決してそれですっきりしてしまっていては、これからのユーザー達も同じく苦労をします。

また、業者もちゃんとしなければいけません。リスクも説明せずに契約書を集めるのはもうやめましょう。このリスクを黙っていれば、騙すのと同じだと思います。

もうひとつ大事なことですが、107Vは柱上点で見てもらいましょう。
系統連系規程にちゃんと記載されているのです。以前のバージョンのJEAG9701にも記載されているのです。
既得権は、既に存在する権利は、使わなければそれは、無きに等しくなります。
業者の皆さん、よろしくお願いします。

何の努力もせず、自分が食うことだけに一生懸命ではダメです。
食い扶持となる畑は自分で耕すのが本来ではありませんか?
PVなんて、儲かることはありませんが、それが仕事です。ライフワークなのです。
現状のPV業界は、ライスワーク(労働)で済むほどには環境整備されていません。
この状況は、新規参入者にもお伝えしたいところであります。
投資せざるものが、収穫を得る資格はありません。

この社会構造ですから、人に働かせて果実だけを得るのは簡単ですけどね。
それを許すかどうかは、あなた自身が、あなたの人生を賭けて考えてください。

4月 16, 2008 技術者必読資料 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.15

電圧上昇抑制①

電圧上昇抑制問題は、今のままでは、永久に片付かないでしょう。
研究開発だけでは絶対に王手はかかりません。
将来は誰かが何とかしてくれると思ってる人は、科学技術を信じすぎです。
誰がその設備の負担者になるのか、と経済のことを考えると、これは実は技術的な問題ではないことが分かります。
法令を改正しないと、どうにもなりません。
それも、コトの重大さに対する社会の共通認識が出来ないと無理でしょうね。

何故今に至るまで電圧上昇抑制問題は大きくクローズアップされないのでしょう?
理由は二つあるように思います。

日本ではPVのyieldに対する価値付けが曖昧、かつ、たかが知れているので、ユーザー自身があまり気にしないという事情があります。yieldを日本の3倍の電気料金価値に内部化するドイツや韓国だったら大騒ぎですよね。つまり、日本では、内部経済にとっての被害が軽微なのです。
もうひとつは、このトラブルを表示しない機種もあるので問題が発生している物件の総数が少なく見積もられる傾向があるということです。パワコン等の表示器に状況が現れなければ、発電量差でしか知りえません。例えば、ただの積算量だけでは、1割や2割の減少はよくあるその年の天候差に埋もれてしまいます。
まぁ、ぱっとみた感じでは気付かない。
だから、表に出る数も少ない。あくまで、クレームベースですから、知られにくくなる。

でも、表示の有無はどちらが正解かわかりません。
表示したらしたで、著しく軽微なものでも気になって仕方が無い。
ただのストレスになるようだったら、何も表示しないほうが良かったりする。
かといって、それと分からないと問題の存在は忘れさられる。
困ったものです。
あるいは、ユーザーそれぞれの許容下限値をプリセットし、これを閾値として表示するなども一手かもしれませんが。

実際に問題を抱えているシステム数に対して、業界や学会、行政から見えている問題物件数はどの程度でしょうか?

私は、ほんの数パーセント、せいぜい1割くらいじゃないかと思っています。
数値に根拠はありません。あまりに鈍さにそう思うのです。

90年代に既に某協会はアンケートを行っています。
しかし、そのフィードバックを聞くと、吉富が言うほどの数は無かったとのことです。
これは見えていない状況を差し引いて考察されたのでしょうか?
学会の反応も意外なものです。「本当にそんな頻度で起こっているの?」という感じで。。。

この現状からは、日本のPV関係者がいかにyieldに無関心か分かります。
しかし意識的なユーザや業者は、どうにかしようと必死です。

あまりに度々相談があるので、以下に参照すべき資料を示しますね。

電気事業法施行規則第44条
電力系統連系技術要件ガイドライン
系統連系規程JEAC9701(住宅ならば89頁が重要)

行政やNPOやギョーシャが普及を叫ぶ声は大きいのですが、一体に太陽光発電を支える社会基盤は脆弱です。ユーザーへの、導入の便益はあっても、将来にわたる利益は確実ではない。

今後太陽光発電システムの円滑な普及のために必要な社会基盤として私が挙げるのは以下の3つです。
・電圧上昇抑制問題に対応する法制度
・保護協調問題への技術的対応または法制度
・日影被害への補償システム
他にもいくつかありますが、年がら年中嵌ってしまうトラップは、上の3つじゃ無いでしょうか。

日本で主流の系統連系PVはそれ単独では成り立ち得ません。
系統と組んではじめてちゃんと動きます。
だから外部事情の影響が大きくなるんですよね。
電力会社さんに言わせれば、(おそらく)PVの方がよそ者なのですが。。。
第三者による日影も見過ごせません。
南側にどーんと高い建物が建てばアレイは当然日影になる。しかしシステムのオーナーには何の手立ても無い。しかも弱ったことに、建築主もそういうことを気付かなかったりする。悪気が無い場合が多いので困ります。人は無知な他者を責めるは難しいのです。
社会が、なんとかしないといけませんね。
このような現状からは、PVに市民権は無いのだと云えます。

私は、PV関係者ひとりひとりが問題意識を持って行動することを願っています。
まず、ここから始めないと、マトモな運動にはならないでしょう。

例えば、やにわに行政主導で消費者保護の名の下にこれらの対策政策を進めるのはあまり感心できない。

ユーザーは、大きく2種類に分かれます。
家計に合理的に振舞う消費者と、未来へ布石する市民と。
消費者の保護だけを叫ぶと、クレーマー増長になりますし売りっぱなしの業者を喜ばせるだけです。かといって、市民の面だけを取り上げるとエコファシズムになっちゃう。
現実には、大抵のユーザーは、両方の面を持っています。
また、ギョーシャも、誰もが金儲けだけを望んでいるわけではありません。
メーカーの人だってそうです。
電力会社も、意地悪をしたくてしている人も稀に居ますが、殆どの担当者は、忠実に法律を守っているというのが実態です。

PVにはこれからの未来を作ってゆく力があるのですから、立場を超えて力を合わせたいものです。

4月 15, 2008 技術者必読資料 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.10

法令と規格②-②

②では、風荷重に言及しました。もう少し丁寧に見てみます。
なんでもかんでも既存の規格を当てはめるようでは、安全を確保できない場合があるからです。規格先にありき、じゃないんですね。モデルをちゃんと選択しないとならない。
使いたい規格とやろうとしていることのモデルが違ったら、ちゃんとそれに気付かないとならない。諸法令や規格のもととなった論文や、実験データを見ますと、とにかくモデリングの重要性が見えてきます。その内容はいずれ説明する(長大なのでブログごときでは説明できない気がする)として、いくつか例を挙げてみましょう。

Shuen
この図では、左はJISで解けますが、右は風圧力の強い辺縁部(局部)にかかっていますから、告示の解説書や内外の風洞実験データを用いて計算することになります。Cfが厄介なのですが、庇と同じ解き方になります。外装材・構造材関係の建築士さんなら分かる人もあると思います。

Bunkatu

この図では、左は内圧が高い構造骨組。右は梁がつながっていないので1458号の外装材として扱います。(絵ではつながってますが、つながっていないつもり)右図のようなバラバラ設置の場合、冗長性が低く、左図の1.5倍程度の等価静的風荷重を見込む必要があります。

Heisokuこれは日本では余り整理されていませんが、右のは等圧効果が働きます。上に持ち上がるのと下に引っ張られるのとがつりあうように働くわけです。つまり、風圧力のベクトル和が安全側にある。
左の場合は、ウチではアレイ下閉塞と呼び、負圧のCfを増しています。実際に実験をすると幾らお金があっても足りないので、私は内外の風洞データを使います。英国やオランダでは数表から引けるように良く整理しています。

外力の種類は他に地震と雪があります。施工荷重、温度荷重なんてのもある。
地震については、一質点系で考えれば分かるとおり、太陽電池なんか付けないほうが良いに決まってます。不安であれば自治体が用意している耐震診断サービスを受けた後で太陽光発電設置を検討するのが望ましいでしょうね。
雪は、もう少し厄介です。法に基づく検討だけでは、不十分なことが多いのです。
また今度お話します。

しかしなおもこれらの外力のうち、一番気になるのは、風です。
アレイ崩壊の大事故は、その殆どが風によるものです。

今回はモデリングの話でした。
建築基準法を守るとか、規格を守るという言い方がありますけど、そうじゃないんです。
やろうとしている工学的モデルと違う法令を参照していたら、まるで答えが違っちゃうんです。そういうことを言いたかったわけです。しかし、太陽光発電の工学に関する法令が体系化されていないわが国の現状では、法令や規格の背景となった諸論文を片っ端から読むしか無いようです。法令や規格にすらなっていないこともあります。そのような場合は、実験データを参照するしかありません。これは、初めてPVに取組む人の、最初の関門となりましょう。

有用な資料名として、
・改正建築基準法の構造関係規定の技術的背景
・建築物荷重指針2004
・建築物の構造関係技術基準解説書
を挙げて置きます。

また、以下も参考になります。
DIN1055-4
Eurocode1-4
AS/NZS1170
BS5534,BS6399
おすすめはASCEの7-05でしょうか。そのままわが国に用いるわけにはいきませんが、内容が充実しています。

NEDOやJPEAの教科書も使える場面は使えますが、モデルの種類があまりに少ない。
時には誤設計・誤計算の原因になっています。
また、設置形態によっては、屋根業界が提供する数表が有用だったりします。
これは太陽電池メーカーとか特定の利害関係者が作ったものと異なり、法に基づいて手計算しても同じ結果が得られます。そんな客観性の高さが素晴らしい。
でも、なおも、日本語資料はあちこちの分野に散らかっています。
今のままでは機械設計屋さんみたいに資料収集を苦労し続けなくちゃならないでしょう。
いつの日か、日本語の設計用資料が体系的に充実することを願っています。

4月 10, 2008 技術者必読資料 | | コメント (0) | トラックバック (1)