2009.06.26

レモンな太陽光発電システム

消費者は経済合理的な行動をしようとする。
”同じもの”がすぐ隣のスーパーで安ければそちらに向かう。
向かうための労力がそれなりに小さければそうする。
労力がプライス差を越えていては行動の意味がないからだ。

厄介なのは、それが同じものかどうかが判然としない場合である。
同じ年式、同じ保証、同じ機種の中古車。あるいは新品のPV。
前者にあっては、かつての中古車市場が参考になる。
ジョージアカロフの指摘はここに始まった。
米国では中古ポンコツ自動車をレモンという。
酸っぱくて、やりきれない、という負の意味だ。
(正の意味はピーチ)

レモンには安い市価が付く。
しかし、レモンがレモンである理由を購買者は知らない。
業者はレモンの理由を知っている。
たとえば、事故車であるとか、だ。
しかしこれは、業者しか知らない。
これを情報の非対称性と言う。

この情報の非対称性を原因として、購買者はレモンとピーチを分別する方法を知らない。
分別方法を知らなければ、購買者は安いレモンを買うしかない。
選抜の基準は、価格しかないからだ。
しかしレモンはレモンでしかないから、購買者はその修理に要する費用や、ストレスで結局は高い買い物をしてしまう。
これを逆選抜という。

太陽光発電システムの逆選抜も同様に深刻だ。
購買者達は、kw幾らかの指標しか持たない。
本当は、何年使ってナンボ。
年間発電量(Yield)×運転年数+付加価値。
本当は、システムの生涯発電量が大事なのは、皆うすうす感づいている。

しかし、あまりの情報不足に誰もがそれを考えることをあきらめてしまっている。
だからこそレモンを販売することがビジネスであり、食べてゆく唯一の方法になってしまっている。
Lemon

6月 26, 2009 問題提起 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.06.16

だいぶ違います。

これはひどい。実際に出来ないものを書いてはなりません。

カタログ内のアレイ2つ目にウチのホームページの、お客さんの写真がなぜか使われています。
それはそれで構わないのですが、電動梯子で出来ない現場はどうやっても出来ないのです。誤解を生む広告はやめましょう。
実際、これは高所作業車で施工しました。
ナンデモカンデモ電動梯子で届くならば世話ないでしょ!?
良くても物件の半分ですよ。電動梯子が使えるのは。
地域やプロジェクトによっては対応可能性ゼロだ。

勘違いなきようお願いいたします。
PVはそんなに画一的な仕事は出来ません。
いちいちの現場で、新しく対処することばかりです。
大雑把な広告をすると新規に参入する人が困るでしょう?
そういうことがわからないのですか?

6月 16, 2009 人間的な、あまりにも人間的な | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.09

責任の希釈

売れれば売れるほど儲からない。
これが住宅太陽光発電業務の実態である。
しかし、ここには注釈が必要であろう。
直売、直設計、直工事の一貫生産が儲からないのである。

中間業者や利害関係者が少ないほうが儲かるのは商売の道理。
それなにの、どうして儲からないかって?

太陽光発電の場合、一気通貫業者はユーザーからの全ての問い合わせに全責任を負わないとならない。
やれ、電圧問題だ、やれ、隣に家が建って日陰になった・・・etc。
われわれはその全てに全資金、全労力を使って対応してゆかなければならない。これが一気通貫業者の宿命。

一方、こういう時、複数業者が垂直統合的に手を組んでいると、電話がたらいまわしにされる。ユーザーは放置プレイ。
どういう訳か、ユーザーは結構簡単にあきらめる。
たらいまわしは疲れるからねぇ・・・。

これまでもそういうシーンをたくさん見てきた。

情けないことだが、業者は、分業スタイルで行くほうが責任があいまい化してなんとなく利益確定できる。売る人は売る人。工事する人は工事する人。ユーザー利益保護やメンテナンスに目を向ける人は居ない。
これが日本のPVシステム業界の実態。


ただ、これからはそうは行かないだろう。
今後はFITがあるから今までkWだけを訴求してきたユーザー達は、kWh価値に気づきkWhを求め始める。システムのどこかに不具合があれば彼らは今までより早く問題に気づき、徹底的に業者を追及するであろう。

電圧問題と日陰問題
業界が、この二つの未解決問題に正面から向き合うのはこれからである。
呪いにも似た予言である。

6月 9, 2009 人間的な、あまりにも人間的な | | コメント (0) | トラックバック (0)

PVバブル??

最近問い合わせが多くて仕方ない。
SubsidyといいFITといい、わが国は勢い付きすぎ。
「全部お客さんにしちゃえばさぞ儲かるだろう?」なんて言われるけど、それは、無い。工事は誰がやるにせよ、設計から始まる建設だから数はこなせない。

それよりも、このブームで参っているのが同じ質問への質疑応答。
決まった答えを繰り返さなくちゃならないってこと。
太陽電池メーカーや販売店がWEBに開設しているFAQが頼りになればいいのだが、これらは鸚鵡返しに官僚的な返事しているから、ユーザー候補さんたちは具体的なことが良くわからず、嫌になっちゃってる。

こうも同じ話を繰り返さなければならない理由を考える。
わが国にはマトモな実務書が無い。
こちらで教科書を作らないとならないのか・・・頭が痛いです。

とりあえず大雑把なイメージをつかむには、NEFの施工品質向上委員会が作った教科書を読むといい。
http://www.solar.nef.or.jp/sekou.pdf
リンクを辿ると工事の教科書が出てくる。
ユーザーや新規参入業者の入門書になると思うが、いかがか?

ただ、CADや電気計算や構造計算、IVカーブの基礎が分かっていないとこれも、あまり意味が無いかもしれない。
中でもIVカーブとかPVシステムの理論に関しては、欧米の書いたものが便利と思う。

しかし、日本人は日本法の下にある。この点では海外文献は参考にしかならない。ところがどういう訳かこの国は法律嫌いばかりだ。まるで、ちょんまげ時代みたい。守らないと白州に引っ張り出される、みたいな。

でもねぇ、今の工学系法令は優れた内容なのですよ。業者もユーザーも分かってくださいませ。とかく、法令違反だと最低限の内容すら確保できないので、日本法をもっと勉強して欲しいと思う。

ここに問い合わせをする人はめんどくさがり屋が多い。
大雑把な問い合わせがあるたび、僕は大雑把に分かりやすく答えてあげたいと思う。しかし、大雑把な答えには大雑把な行動しか伴わないだろう。・・・つまり、ウソになる。

今の僕は何に対して返事をするにも時間がかかりすぎている。
自分の受注残をさばくより他者の面倒を見るのに精一杯だ。
一年以上待たせているお客さん、本当にごめんなさい!!

6月 9, 2009 人間的な、あまりにも人間的な | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.21

劣化・故障とはこういうもの

以下のIR合成画像を見てみよう。
健全アレイと故障アレイである。
0409

0417後者がおかしいのがお分かりいただけるだろうか?
前者は距離と放射エネルギーの関係性が保てて居ない。
後者も似た条件だが、ここには部分発熱を観察できる。タブの重故障だ。
温度レンジをわざわざ合わせている意図がお分かりいただけるだろうか?行儀の悪い業者を排除するためである。IRは幾らでも悪用が可能だ。だから今までアップロードしなかった。

なお、答えだけ知りたい事業者(情報だけ必要で自分は何もしたくない人)には、
●労力
●知恵
●お金

いずれかを要求する。
私は厳しくすることにした。
飛行機に乗り、新幹線に乗り、訪ね歩けば誰かが教えてくれると考える人が多いが、これはもう許さない。ナマケモノを増やすだけだ。自分自身は何もしないくせにお金だけを欲しがる拝金主義者を増殖させるだけだ。日本のためにもならない。

そもそも私は、ケチをするのは嫌いだ。
しかし、もう堪忍袋の緒が切れた。
何の努力もせず、お金も使わず、答えだけを知りたがる輩に教えてあげる価値は全くない。
今後は、一般ユーザーにも厳しくする。
せっかく伝えても、自分だけ得をすれば満足し、他の人に教えてあげる努力を怠るからだ。そんな人のために誰が働くだろう??
後輩は育てたい。今、実に今の私は年に100日は人に教えることに時間を使っている。しかし、そうやって教えを請う多くの者の態度は目に余るものがある。・・・他の誰にも伝えないのだ。この連中は、何か新しく覚えればそれを使って日銭を稼ぐことしか考えない。
あるいは、自分がひとつ賢くなれば、それで満足してしまうのだ。今自分が困っていても他の誰かがその今を助けてくれればすぐに忘れてしまう。もし私から何かを学んでも、その恩などは忘れていい。しかし同じ思いをする人のために働かないのはどんなものか?だから私は、誰かに教えるにしても、その個人を瞬間風速で潤おすばかりではダメなのだ。
日本のPV技術が諸外国に負けそうな原因のひとつが、ここに、ある。
特に住宅PV業者は悲しいくらい、レベルが低い。

5月 21, 2009 太陽光発電の技術 | | コメント (4) | トラックバック (0)

δの計算

たったのこれだけでも一体全体にメンドクサイんですよ。
δそのものの計算は、まだ早い。簡単に見えるでしょう??
実際、この部分だけは簡単。
だけど背景にあるCfから追いかけるのは大変。
現地も精査しないとならない。
だから、たった一本の部品だけれど、丸一日はかかってしまう。
一番最初から数えると3日はかかる。
これ、何十、何百という部品のたったひとつです。
でも、やらないと色々起こるじゃないですか。そういうことです。
住宅太陽光発電がいい加減になってしまう理由もこのアタリにあります。
私には姉歯殿の気持ちがちょっと分かる気で居ます。
確かに彼はムチャをしました。
でも、お金を渋り、内容を理解しない発注者、ユーザーにも問題があるという見方も強く首肯してしまいます。1_2

でも、こういった諸々、そもそも分からない、やれない業者が多いのでそもそも問題外なのです。しかも、バレないし罰則も無いから普及も進むし、なんとなくやっていける。
これが実情でしょう。
PV業者は、当分は、勉強不足のまま、あまり働かない方がお得です。
どうせバレないのだし、ヨクワカラナイのだから罪悪感も無いでしょう。
他人をコキ使い、文句だけは立派というお客様御紳士も彼らの行動に加担しています。

5月 21, 2009 太陽光発電の技術 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.17

間違い情報に注意

Wikipediaにも太陽光発電の話があり、劣化についても言及している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB
Solar_panel_surface_deteriorationl
”表面が白く劣化した太陽電池パネル、設置後10余年。最下段中央は新品に交換されている。千葉県内にて2009年4月撮影”とのコメント。

ところが笑止なことに、これは劣化を物語る写真ではないのだ。
この機種はカバーガラスにピラミダルな表面を形成しているため観察方向によっては、白く見える。筆者は、これを劣化と勘違いしてしまったらしい。

なお、新品と書いてある部分も別機種の太陽電池が付いているだけ。この部分は、ボール等飛来物によって割れたか、ホットスポットヒーディングによる事故後の対応だろう。
ともかく、この写真からは劣化は確認できないのである。
(実際はあったにしても、だ。)

Wikipediaのこの項目は間違いが少なくない。
以前も明らかな間違いを見つけて私自身が修正をしたことがあるが、いつしか元の誤りの状態に戻されてしまった。(その後他の誰かにより誤記述箇所は削除されたのだが。)
おそらくこのWikiを強引に弄り回す筆者達は記述よりも自己主張をしたいのだろう。自己主張をしたいのならばブログやHPで書けばいいのに。

ともかく、インターネット情報はまだまだ頼りにならないなぁと思う。
ありとあらゆる勘違いを直すために活動してきたこともあったが、最近はもう面倒になってしまった。
何故間違いがはびこるか?
誰も自分自身で現場を見、誰も自分自身で測り、誰も自分自身で考えようとしないのだ。
人から聞いたことをすぐに鵜呑みにしてしまう。
誰も自分の中で教養を育てようとしない。
誰もが楽をしたいのだろうと思う。
情報だけを仕入れ、それを真実と見なすのはとても楽だ。
かくして横着をしたい者とガセネタ提供者の利害はここに一致する。

因みに、劣化は確かにあります。
情報屋に聞くんじゃなしに、現場実測すれば実態がよく分かりますよ。
しかしEVA劣化を除き多くは目視が難しいため、絶縁抵抗測定、IVカーブ取得やIR撮像で判断することになります。
・・・ひどいのだと3年で出力が半分なんてのも見られます。

なお、現行JIS規格やメーカー、METI推奨の方法では、劣化や故障を判断できません。そういう意味で太陽光発電はまだ途上であり、偉大な社会実験と云えます。(しかし科学技術とその産物である人工物は社会実験そのものなのですからヒステリックな全否定はナンセンスですよ)

また、劣化については定義づけが大事です。
性能低下の量と質、両面からの評価が欠かせないでしょう。
そもそもが屋外に据えるものだし人間が作るものなので、単なる汚れや小さな歪みなどを劣化とされてもメーカーは堪らないでしょうね。

5月 17, 2009 弊社からのお知らせ | | コメント (0) | トラックバック (1)

太陽光発電システムをもっと安く??

昨年は福田さんがややこしいことを言い出したので、多くの業者が苦労したことと思う。「太陽光発電を半額にする!!・・・そんなこと言ったらユーザー候補達は買い控えするに決まってる。
現に僕等の仲間内の一社もこの爆弾発表から半年間に100件を申請したものの実行になったのはたったの15件だったと言う。
(申請とは、現場調査、設計、電力協議開始を言う。実行とは契約&設置に至ったもの)
業者側のコストの多くは前者が占めるので堪らない。
実行にならない分は、働き損である。

ともかく彼の会社も、僕の会社も零細だから生き延びた。
太陽光市場がダメならば他の得意分野で食いつなぐことは容易いのである。
一方、中堅どころは大抵が商社だし、社員は養わなければならないし、融通が利かないので大分つぶれてしまった。

本当に半額になるのか?
ここに言及しておいたほうが良いと思う。
太陽光発電システムは、太陽電池とそれを取り付ける架台、電線、パワーコンディショナといったハードウェアとこれらの機器を適切に組み合わせ動かすための環境づくり、つまり設計や工事といったソフトウェアから成る。
福田さんや官僚の意図は「太陽電池と周辺機材を半額に」だったと思うのだが、国民には上手く伝わらなかったようだ。

多くの設置希望者は、太陽電池の値段と太陽光発電システムの値段を区別しない。換言すれば、倉庫にある太陽電池山と、屋根に設置し配線接続し、動くようになった太陽光発電システムとを区別しないと言うこと。
大変な無教養時代になってしまったものだと思う。
野積みになった建築資材を住宅価格と同じだと思う人はどこにも居ないと思うのだが。


因みに、太陽光発電システムに占める太陽電池コストの割合は、最も容易い物件でも4割しかない。難物件では(住宅ですら)2割を割り込む。
だから太陽電池がタダになっても、現状の6割を割ることはあるまい。
このように太陽電池が安くなっても、”システム”は大して安くならないのだ。

政治家や役人達は太陽電池さえ安ければもっと普及する筈と、お念仏を唱え続けているが、この考えは早く捨てたほうが良いだろう。
太陽電池が高かったのは10~20年前のこと(今の2~15倍)
当時は太陽電池コストがシステム価格の8割以上を占めた。
今の政策は過去の幻想を追いすぎていて、全く無理がある。
既に変化してしまった状況から、政策を練り直さないとダメですよ。
もう、太陽電池は充分に安いのです。

なおも政治家や官僚がジタバタとワケのワカラン政策を打ち出すとどうなるか。売れる時期と売れない時期が極端になって、ますます専業事業者の経営は圧迫されるだろう。
個々の事業者の経営など、実は国政の大局観にとってはどうでもよろしい。
少なくとも私はそう思う。
しかし、個々の事業者が継続し、力を伸ばさない限り、適切に設置する技術者とその組織はこの日本には育たないだろう。
現に、ユーザー候補と販売者は有り余っている。
一見普及への壁は無い。
にも関わらず、思うように普及が伸びないのは何故だろう?
一体全体に技術者不足がひどいのだ。
技術者は、販売者や工事人などよりも育成に時間がかかる。
政策がジタバタとしていつまでも揺れ動く限り、彼らを育てる余裕などこの業界のどこも醸成されない。

5月 17, 2009 住宅太陽光発電システム | | コメント (3) | トラックバック (0)

2009.05.13

札幌電気学会、そしてAさんのこと

ちょっと遅い報告。
3月、電気学会を聴講に札幌に行った。
ほくでんさんの取り組み、JETさん、AISTの先生の取り組みに感銘を受けた。これらのテーマ、自分の普段の悩みとあまり変わりは無い。
実に今まで行った学会では一番に面白かった。
ついでに先生方と一杯行って、NEDO研究データの公開指針を不思議に思う。最近、NEDOのWEBでは中国等反日国のパクリ対策か、研究ドキュメントがあまり公開されなくなった。
でもこの方針では国民も観ることが出来ない。
いいのか、これ?なんていう話に。
パクリも排除したいが、税金払ってるんだし活用したい国民の思いもなんとかしないと。
右翼チックな表現になってしまうけど、なんのかんの言いながら、実際、皆日本の国のことを憂い、良くしたいのだと思う。

でも聴講というのも実は名目。
友人の主任技術者Aさんにどうしても会いたかった。
果たして彼の町に行き、彼の家族と会い、彼の考え方に改めて出会った。
結局、僕も、彼も技術者としての言葉でしか語らないのだが、いいことと悪いことをなんかは当たり前にわきまえていて、すべきこと、そうでないことが定義するまでもなく前提にあって、自然と話が弾む。

前提が明らかなのだから、現実にどう対処するか、だけの技術論だけになる。
俺は、お前はどう生きるか、なんていうのは今更確かめあうまでもないのだ。やっぱり、”プロ仕事人”はいいなぁ、といつもながらの感想。
こういう当たり前の議論が出来る場は、すっかり少なくなってしまった。
日々の生活だか、オトナの事情だか知らないが自分を赦す寛容と曖昧さの時代にあってこういう厳しい人と会うと気持ちが引き締まる。

本当のプロってのは、目先のゼニカネや同僚の顔色に追われず、職務を全うする。ここにかける執念はハンパではない。
そうしてそうやって、尊敬できる仲間が居る自分を本当に誇らしく思う。
卑近な表現すれば「こんなにオッサンになってもなお、振られたくないオンナが居るような気分」なのかな。

5月 13, 2009 人間的な、あまりにも人間的な | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.28

転倒は笑いごとか?

台湾紀行の続きです。
私は彼らにアレイ転倒の事例を数例お見せしました。
話しながら、私は彼等の失笑に気付きました。
(日本の業者は)そんなものも検討していないのか、と。
私を世話して下さった方は数学者なので余計にそう思われたようです。
あれはミニマムも満たしていないではないか」と。
力学も知らない人が工事をしているのか」と。

インテリが多かったためか、そんな感想が普通でした。
しかしこれは本当に笑いごとでしょうか。
理屈の話をします。
要件:Mr>Mw
ここに、
Mw:(風による転倒モーメント)
Mr:(抵抗モーメント)
理屈としては簡単です。
ただのニュートン力学です。

じゃ、実際にやってみてごらんなさい。
頭で理解出来ていても、実際に代入すべきパラメータを集め、計算するとあっと言う間に一週間二週間と過ぎてゆきます。
是非、あなた自身がやってみてください。

何が大変か。
構造と言うものはアナログ回路設計と同じで、多数パラメータの一部を仮に埋めて計算、取捨選択、最適解への収斂させないとならないのです。
いくつものシナリオを立て、実際にCADを動かし、質量情報を集め、重心を解き、幾つものシナリオについて,実計算しないとならないのです。

事故例を目にして笑ってしまうのは、日本人も全く同じです。
しかし笑ってはなりません。

この検討期間、ユーザーはお金をくれますか?
呉れないでしょう。
ユーザーは、構造など、具体的に考えたこともないからです。
飛ばなければ良い。
ここには希望的観測だけがあります。
業者もそう。

だから大抵の業者は無設計を選ぶのです。
多くの事業者がサボる理由をちゃんと考えないとなりません。
実際、俺だけは大丈夫だという事業者が事故をやるのです。


本当は、このほかにもδ、σ、τを考えないとなりませんよね?
つまり、かなりめんどくさい。
大抵は最初にδでひっかかるでしょう。
その前に陸屋根設置ならば、M-resistanceでひっかかるでしょう。
しかもこのパラメータ、確保するのにいちいち大きな工事費がかかる。

だから日本メーカーは質量基礎を認めたくないのです。
儲からないうえに責任は重いからです。めんどくさいからです。

普及促進に当たっての問題点は、技術者不足です。
太陽電池コストは、もう十分に安い。最大でもたかが総コストの4割以下。
太陽電池が安くなれば・・・という幻想が主流としてまかり通っていますが、実は太陽電池の低コスト化による効果は、最大でもそれっぽっちなのです。
実市場において、総コストに占める太陽電池コストの割合がたったの一割もない場面が多いことは、もっと知られてしかるべきでしょう。

販売者は既に過剰。
工事人も、意外に居る。足りる。
実は、お客さん(ユーザー候補)もいっぱい居る。
一方で設計者、技術マネジメントをする人が全然足りません。

請負師や商社~工事人の間に足りないのは何か。
請負師や商社は鵜飼になりたがっている。工事人は鵜になりたがる。
それを職能とか、分限というと美しいでしょう。

しかし、職能とは汚いもので、自分の能力を超えること、分限を超えたことは、知らないと張り通す。
かくして、無責任がまかり通る現実がある。

その社会的影響度を我々は知らないとなりません。

元請けがこういったから、と言って、誤った設計の工事を請け負う業者を私は軽蔑します。モラル、モラールが育つのはいつの日でしょうか。
人のせいにして、世間のせいにして、それで仕事が成るものでしょうか。

戦うべきは、自分の小さな世間でしょう。
あなたの小さな世間はしばしば、強要します。
あの人がそう言ういのだから、と。

アホか!
自分自身で、試行し錯誤し、結論を求めなさい。

それから、ユーザー候補に言いたいことがあります。
安くしたいというのは、ほどほどにすべきです。
ただそれだけでは、誰もあなたのために働かないでしょう。
それほどの余裕はないのがこの業界です。

たったの一度でも良いから、システムの最初から最後まで、自分自身で検討してみてください。業者もユーザーも。
色々と分かると思いますよ。

4月 28, 2009 問題提起 | | コメント (0) | トラックバック (0)