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2005.08.22

訪問販売について-2番

2:訪問販売は太陽光発電の普及において重要な役割を果たしてきました。

1で見たような訪問販売の姿はやや片手落ちです。1では訪問販売にとって売れるやりかた、儲かるやり方について見てきたわけですが、これを外側から見るとどうも、それだけではない。太陽光発電の業界においては、事実上、結果的に訪問販売が果たしてきた役割が見られるのです。以下、昔話を交えてお話してゆこうと思います。

太陽光発電はその性質から言って、従来の生活者には不要なものです。つまり無くても困らない、差しあたって必要とされない商材(設計と施工を必要とするので物販的商品では無い。だから”商品”とは言いません)です。
だから自動車のカーポート、風呂のリフォーム、新聞、置き薬などのよくある訪販商材と比べると何のためにそれを導入するのか、消費者からすれば購買する動機が無いわけです。
説明を聞いて初めて、ああなるほどなぁ。面白いかも。今で言えば、経済効果があるかも?と何か期待すべき点に気づくわけです。
だけどそれも教えてもらわないとわからない。

もちろん、今でこそ太陽光発電システムはイニシャルコストを考慮しても家庭の電気代節減に寄与するし、オール電化と組み合わせれば経済効果が大きい。生涯光熱費というレベルで見れば効用は莫大だという見方が出来ます。
ところが今から10年前からしばらくの間、つまり補助金が始まった平成6年頃~ミレニアムよりちょっと前くらいまでは、3~4KWも設置すれば今で言う標準的な納品内容、施工方法でも500万~1千万くらいは必要だったわけです。

だから、当時の太陽光の価値論は、今とは明らかに違う。
以前は、環境論など今みたいには無かった
経済効果なんてとてもとても言えなかった
それどころか全く思いもしなかった。「得になるはず無いじゃん。」
顧客に説明する前からそれが”常識”でした。

むしろ資源枯渇への警鐘と対策非常電源としての提案がメインにあって、一応、系統につないで売ることも出来ますよ。
また、光で電気が起きる。そしてこの電気を自らが使うことが出来る。
光で電気が起きる。アラ不思議。という太陽電池そのものの面白さ。
産業として伸ばせばわが国の雇用創出・失業対策にもなる。
国も応援していますよ
そんなところだったかと思います。
今思えば、よくその程度で買う人が居たなぁとも思います。
でも、そうした当時の様相が今の私を勇気付けても居ます。
人間の価値観は損得だけじゃないな。と。

ターゲットとしては、アマチュア無線家、電気電子マニア、学校教師、資源問題の研究家、原発反対運動者、といった特定分野の意識が高い人々でした。
これらの人たちはある意味、自己犠牲の精神を持っていたかもしれません。
世の中を良くするために、自ら何が出来るかを考え続けていた人たちです
また並行して、人工呼吸器の維持、高級熱帯魚の飼育など絶対に停電してはならない設備を持っている人たちや非電化の僻地に灯りが欲しいといったのっぴきならない「電源への渇望」を持つ人たちもお客さんとなりました。

ところが私達業者がどんなに太陽光の効用について知っていても、解説できる能力を持っていてもただそれだけでは、何にもならないのです。
黙っていては、わからない。
どんなに全うな思いを持っていても、どんな真心を持っていても、タダそれだけじゃ何にもならない。恰も好きな人に好きと言えないのと似ています。
ここに企業活動が停滞する原因があります

そこで少なからず戸別訪問、つまり飛び込みの経験のある者が一軒一軒の戸を叩き布教活動?を始めた。でも太陽光の会社に来ている人は食いつなぐためにそうした経験をした時期を持っているだけで元々がその道のプロじゃないからそううまくはいかないわけです。
歩けば歩くほど、(主として人件費としての)経費はのしますし、売れなくちゃ、その部門は廃止しなくちゃならない。
かといって、新聞屋みたいにドアに足をひっかけて契約を迫ったりなんていうのはとても出来ない。”ピンポーン”とやって「売り込みですか?」「ハイそうです。。。」とお客さんの方が上手(ウワテ)だし、すごすごと引くだけです。

少なくとも、私は非電化地域の組合の方に声をかけることくらいしか出来ませんでした。。
やっぱり口を開けて国や県の仕事を待つくらいしかないのかな
しかしながらそうした仕事があっても、書類が非常に難しい。
強度計算、防水の耐久性の証明、部材の詳細図面、施工計画。そんなものを書類で仔細に示さねばならないのです。当時、今よりもはるかに高価な太陽光発電はそうした「書類完備」どころか「書類の豪華さ」が厳しく要求されました。間違いなく、今よりはるかに難しいです。官の担当者も大きな予算を預かる以上、胃を痛めたことと思います。
そうだ、これをやろう。私は売る方じゃなくてつぶさな表現を目指す技術屋を目指しました。でも、これじゃ、売れなくちゃ給料泥棒だ。
事実、倉庫整理ばかりしていましたし、私の仕事は積算資料や設計のためのシートを作ることがメインでした。やっぱり給料泥棒です。

社員の誰もがそう思っていたら、昔布団を売るのがうまかった、開運の印鑑を売るのがうまかった、健康食品をだいぶやったよ、なんていう武勇伝を持つ男達と出会うことも出てくるのです。出会いというのは不思議なもので、そう願っていると、ある。
願わなければ改札口であるいは街角で通り過ぎるだけの人たちです。
つまり今まで見えなかった世界に気づいたのでしょう。
私が居た会社の社長はそういった人たちを積極的に登用しました。
で、上述のように太陽光の話を布教?する人たちが居て、多くの設置希望者を見つけてくることに成功した。
彼らは玄関口で蹴飛ばされてもへこたれなかった。太陽光発電の価値について相手にわかるように根気良く説明した。それが仕事だったからでしょうし、成約マージンもあったからでしょうけど、私達から見ればスゴイ。
3人も販売者が居れば、7人の社員全員が辛うじてメシを食えたのです。
そのうち3~5人くらいは別の部門で公共産業用専門あるいは開発部門で取り組んでいました。しかし後の残りは交代で給料泥棒でしか居られなかったのが、設計と設置工事で忙しくなることが出来たのです。これはスゴイことです。

しかし私の話は太陽光発電の黎明期の話かもしれません。今や星の数ほどある太陽光業者ですが、私達が居た会社はかなりカビ臭い本にも、良く出ています。地域どころか関東から中部・関西では良く知られた老舗でしたから。

もっと、今の訪問販売はやや悪質あるいはガサツです。
内容に比して値段が高い。
当時のメンバーでも、すぐれた訪問販売員はより高いマージンを目指してより高い報酬を得られる企業を掛け持ちしています。市場が大きくなったぶん、横のつながりもできてきたからです。
売れれば儲かる。それならばより儲かる企業を探してその企業をメインに手伝うのが良いのでしょう。優れた販売者は掛け持ちで商材を扱い、儲かる方の商材をメインに戸別訪問するのが普通になりました。いわば会社を助けたのも一過性の嵐だったわけです。
これは裏を返せば、販売員のコストが上がった分、顧客が得る納品物の品質が低下することを意味します。視点を換えれば、同じ納品品質であれば異常に高くなることを意味します。

手立ては大同小異。90年代後半になると市街地には京セラのFCやシャープの代理店なんてものまで出来てきて、彼らもまた似たような手法で販売を始めます。
より多くの業者が訪問すると太陽光発電を知るひとたちは増えました。

※当時、中部電力のかなりの数の営業所は、一般の方から太陽光発電について問い合わせがあると私達の会社に紹介してくれました。他にやるところが無かったのです。
しかし今や、大競争時代。電力会社は「電話帳を見たら?」「WEBで調べたら?」という調子だと思います。嬉しいような、困ったような。

しかしながら、そうした市場を作ってきたのは、太陽光発電というものの存在を広く知らしめる訪問販売員があってこそです。
何しろ、誰もが、良く知らないものについて問い合わせをすることはありえません。
やや昔に遡ると、アマチュア無線家も原発反対派も社会の先生も、まさかあの人工衛星にしか無かった太陽光発電が自宅に設置できるなんて思ってもみなかったわけです。
それを教えてくれたのはほかならぬ訪問販売の販売員達です。

★今回は歴史的経緯を辿る都合上、モノローグ調となってしまいました。
しかしながら継続してご意見をお待ちします。

8月 22, 2005 ザ・テーマ |

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コメント

確かに訪問販売は普及に貢献したと言えなくもないが、訪問販売の成功率は1/1000~1/5000かもしれない、売込みが成功した家あるいは、関心がある家は、ごく一握りで残りの大多数の家が下記のような負の感想を抱く可能性がある。
1.太陽電池も、いかがわしい商品なのか。
2.訪問販売には、ろくな商品がない、太陽電池もその一種か。
3.本当にいいものなら、近所の電気工事店でも扱っているはずだ。等々
一時的なプラス面のみで良しとするのではなく、業界全体のイメージダウンという負の部分の大きさは今後、将来にわたり業界の有り方にも影響を及ぼす問題であり、この負の遺産を払拭するために、今後多大な時間と金を必要とすることになるだろう。
リホーム業界のように、一部の悪徳業者が社会問題になっために、結果的に、ハウスメーカーのリホーム部門が儲かる(ピンハネして)ようになってしまった。
つまり、お客は安心のためだけに1.5~2倍の工事費用を支払うこととなった。
結局メーカーがいいとこ取りをしてしまう構図。
太陽電池業界が同じ構図とならないことを祈っていますが、それを積極的に回避しようとする動きが見えてきません(みんなメーカーに洗脳せれているのか)。
そんな現状の中、積極的に活動しておられる、よしどみさんは尊敬に値する貴重な存在であります。

投稿: aosam | 2005/08/22 19:58:19

確かに訪問販売の方は凄いです。何で何百万円もするものを飛び込みで売れるのか?ある意味尊敬に値しますし、太陽光に興味を持つ人を発掘または創造するという点では、評価されます。
ウチが今存在しているのも訪問販売さんの存在があるからという一面もありますので。

ただ、やはり売れば良いという考えはどうにかしなければと思います。経費がかかるので高くなるのは理解できます。それならば高いなりの技術とサービスを提供していただければ文句は言いません。
あまりにも「高かろう、悪かろう」の販売会社が横行しているのが問題です。もうそろそろ訪問販売の時代が終わりを告げる時期になってきたのではと思うのですが、もう2~3年は必要かな?
メーカーにも責任があることは忘れてはいけないですよね。

投稿: なっちゃん | 2005/08/22 20:08:03

aosamさんこんばんは!
1~3のリスクについて、およそ同感です。
ただし、訪販商品には悪いものが無いなぁと大真面目に言っている人も居ますし、ひょっとしたらaosamや私のような科学好きが「ろくなものが無い」っているのかもしれません。でも、ちょっとばかり科学的にその商材を見ると訪販商品には怪しさ満点!のものが少なくありませんねぇ。

負の遺産の例を考えると、太陽熱温水器は本当に残念だなぁと思います。本州太平洋側~四国、九州、沖縄にかけては温水器に適した地帯が多く、エネルギーペイバック、コストペイバック、おそらくはCO2ペイバックですらPVよりも温水器の方が優れています。でも温水器の市場は消費者から信頼を失ってしまった。アサヒソーラーの事件、悪質訪販の跋扈、少々の労力では社会からこの悪い記憶を消し去ることは出来ないでしょう。

ハウスメーカーのピンハネには参ります。某地域でハウスメーカーさんと太陽光発電の競合になったのですが、このメーカーの方が4KWを設置するのに150万も高かった。さらに選定している太陽電池もあちらの方が70万くらい安い。ということは経費差を考慮しても200万以上も違うわけです。もちろん先方さんは瓦の一部葺き替えとか足場代なども含んでいるんで一概に悪質とは言えないのですが、材料費も安いのだから良質な下請にやらせても50~100万くらいしか違わない気がするんですよ。

一方面白いのは、メーカーによっては営業所員毎に個別判断の幅がある様子。他店が信頼できるようなら、どうぞ勝手に売ってください。部分的になら設計監理もしてあげる。変なマージンも要らんよ。こういうメーカー員があるのも事実です。例えばセキスイハウスには、営業所員によって何が何でも自社受注+ピンハネ型 or 自社による品質監理サービス+他店お任せ型という2種類の態度があります。これはとても興味深いことです。もちろん、他業者無視という態度もあるかと思いますが。。。

太陽電池業界の場合、安易なキット販売がいかんですよ。
本当にあれは、メーカー支配を強め、物販業者を強めてしまっています。
キット化は裾野を広げたかもしれません。誰でも、とりあえず設置は出来ます。
しかし、設計上の融通が利かなくなる原因になってしまった。
また優れた工夫を跳ね除ける原因になってしまった。
ここに専門業者の総無知化が始まります。
簡単な2次元CADで配列図面を書いて、メーカーの用意したシミュレーションを走らせて、契約書を切って、ついでに下請を走らせておけば物販マージンだけは手に入るということですね。あとはメーカーがそこそこ面倒を見てくれるから売り切りでいいや、なんて感じ。メーカーの用意する設計マトリクスのいちいちの是非を考えたこともない。
ここには看板背負った老練大工のような意気込みも落ち着きも何にもない。
つまらないですね。
表現が前時代的なので反感買いそうですが(笑)

また、以前もaosamとBBSでお話したように、10年保証というのはひとつの脅迫です。
販売者はこの過剰保護によって自分で考えることが無くなる。
より注意深く設計に取り組み、より注意深く施工することが無くなる。
ここにマーケティング系物販事業者や悪質訪問が付け入るスキが出来てしまうのです。
これらのメーカー支配と物販化に共通する問題は、消費者不在だということ。太陽光発電の能力評価不在だということでしょう。

投稿: よしどみ | 2005/08/22 22:16:11

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