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2005.08.18

インバータ論

lade  ブログの利便性に頼って2台のパワーインバータの写真をアップ。上は最近流行りのトランスレス型。下はトロイダルトランス型。
上のは従来型のシーメンスのトランス入りインバータなどに比して豪快なまでに安くて、小さくて、デビュー時には飛び上がるほど嬉しかった。やっと独立型もお値打ちになったなぁって。送電線の来ていない僻地の方方もやっと超高コストから少しだけ解放される。ってそう思った。

でもやってみるとそうでもない。上のようなトランスレスタイプ(この製品を特定するわけではないが市販トランスレスタイプの属性)はラッシュカレントやちょっとした誘導雷であっさり壊れてしまうのだ。マイコンばりばりだからかどうか、理由はわからないけど壊れやすいのは事実だ。

だからどんな負荷をつなぐかわからないような、実用一辺倒の山小屋や初心者ホビイストには向かない。実用の視点から言えば、システムを使う人を教育するコストの方が高いのだ。売る方にも問題がある。日本語説明書を送りつけて売り切りでほったらかしにしていれば利用者はすぐに定格を超えた大容量ポンプやハツリ機などの大容量負荷をつないでブチ壊してしまう。売る方も、ラッシュカレントについて口頭説明やレクチャが要るんじゃないの?ちゃんとやってる?

lade2一方、下段のはトロイダル入り、高いけどやっと出会った逸品。これはすごいんだ。ラッシュカレント3倍は大丈夫。これになってから新人の使用者が大電力を取り出しても壊さなくなった。修理依頼が格段に減ったのである。でも、余談ながら、2000年のケミコン問題の頃にはコイツもはまってしまって私も恥をかき、大赤字をコイたが(笑)

ここで独立型と系統連系型の決定的な違いをお話しなければならない。
私のHPをつぶさにご覧になった方はお気付きだと思いが、住宅系統連系などではトランス入りはあまりおすすめしない。実効率がトランスレスタイプより低いのだ。でも系統連系の場合、太陽電池が発電するがまま。つまり設計に間違いがなければ過負荷がありえない。つまり運用者の不注意もありえず、過負荷で壊してしまう可能性が無い。だから効率の良いトランスレスが、値段さえ見合えばお得。(でもわが国の場合、なぜかトランス入りの方が値段が安い。すごい矛盾だ。トランスレスメーカーが儲け過ぎ??)

一方、独立型の場合は、使うのは人間なのでどんなにすぐれたマニュアルがあっても、やっちゃうんだな、これが。どうしてもローコストでトランスレスを納品したい場合も、マニュアルも読まない人が居ればそれまで(つまりやたらに壊れる) だから、定常負荷、自動運転の場所でしか安心して納品できない。でもトロイダルなんて銅の塊だし筐体がでかくなるからか、値段が高い。昔戻りだ。

いいわけそのものだけど、どんなに真心こめても、これらのことを説明するの、死にそう。
やっぱり目の前の安さが正義か??
イニシャルコストに左右され、何度も壊し、不稼動システムを散らかし、結局は高いお金を払ってしまう自治体やユーザーが悲しい。
私が声を上げても、説明が届かないのは私の能力不足だなぁと痛感する。

同業者の皆さん、そろそろ不稼動システム、早期故障システムを減らしませんか?
目の前の安易な安さで迫るのは、簡単だし、その場の人の心を動かしはするけれど、もう少し注意して消費者の将来コストを見てあげないと世の中は太陽光発電システムへの期待と信頼を落としてしまいます。

とてもシツコイけど、市販独立型トランスレスパワーインバータにもう一言。
下の写真を見ればわかるとおり、コイツには、入力側ケーブルが無い。KIVも太物で短い切り売りは高いんだぞぉ~。もうひとつ。出力にコンセントだけってのはなんだこりゃ。配線できないジャン。コードリールを毎回運べってこと?利用者の人件費、馬鹿にならないよ。
メーカーは趣味人相手を超えようとしないってこと?
でも、これイギリスでのレビューではナンバーワン(笑)
日本人もこうした機器の特徴や癖をわかって使えば、いいんだけど、そのための教育に販売者はかかわっているか?何か取り組みをしようとしているか?売れればいい、はやっぱりアカンのじゃないか??

ヘリコプター代、ブルドーザー代、工事屋の工事費代、僻地でのシステム維持コストって、販売店が考えるほど甘くない。
だからこそ、長持ちするものを納めなくちゃならんのでは?
弊社のインバータ、その実用ではチト扱いにくいですよ。そう言って競合品を紹介する勇気は?企業は儲けなければ生きてゆけないけど、環境のこともあるんだし、ゴミばかり出しているわけにも行くまい。

もちろん、誤解を避けるため言うけど、独立型トランスレスも商用電力が来ているところやホビイストは好きに使えばいいと思うし、私だって状況次第でおすすめする場合がある。

8月 18, 2005 FAQ(独立型太陽光) |

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コメント

実は当方のシステムでも誘導雷で故障しましたが、運良く保障期間中でメーカーの対応も良く、誘導雷による故障対策を追加してありました。

>上のようなトランスレスタイプ(この製品を特定するわけではないが市販トランスレスタイプの属性)はラッシュカレントやちょっとした誘導雷であっさり壊れてしまうのだ。

投稿: kk | 2005/08/18 8:25:57

kkさんこんにちは。それは良かったですね。下界は調達と交換が何とかなるので助かります。往復装備やヘリが必要な高山や船にたよらざるを得ない島嶼では、(機種を問わず)はじめから2台おいてこなくちゃいかんかなぁと思うこともあります。でもこれじゃ、最初が高くなりすぎ。

投稿: よしどみ | 2005/08/18 9:52:24

「出力にコンセントだけってのはなんだこりゃ。配線できないジャン。」同感です、たぶん100V側の配線は工事師免許が必要になるので、それを回避し広く一般の人にも販売したいためではないでしょうか。

よしどみさんもご承知のことと思いますが、価格の問題ですが、トランスタイプはDC12か24Vから直接、安価なトランジスタで交流の低電圧を作っておいてトランスで昇圧するため回路が単純ですなので、トランスさえ安く海外から調達できればやすく造れます。
それに対しトランスレスタイプは、まず高周波の交流を造ってそれを昇圧、整流し直流の200V程度を造ってから、高価なFETを制御して100Vを造ります。
価格の差と壊れやすさの原因の本質は、トランジスタとFETの強度の問題と、回路が単純か複雑化かの違いによって生まれると思います。

素朴な疑問ですが、なぜ正弦波のインバーターを崇拝しているのか疑問です、短形波や擬似正弦波でも十分だし、内部で整流している機器なら短形波が有利となる場面も少なくないと思います。
売る側にとっては後々のクレームがないように正弦波をすすめる、ことは想像できますが、他に理由があるのでしょうか?

投稿: aosam | 2005/08/19 19:13:09

aosamこんばんは。
(独立型INVの)トランスレスとトランス入りの差異のご説明をありがとうございます。
仕組みの上での本質論にも触れることが大事ですね。しかし独立用INV価格ですがいつでもトランス入りの方が高いです。背景としては筐体が大きくなるということもあるでしょう。クソ重いぶん運賃も高いです。これが国産なら逆転するのかな??

売る側にとっては後々のクレームがないように正弦波をすすめる、ことは想像できますが、他に理由があるのでしょうか?

普通の実用独立型は不特定多数の電気利用者を抱えることが殆ど。オンサイトでの説明コストの方が高い場合が少なくありません。
他に、僻地ではやたら放送局が活用しているという現実。また土石流監視、テレメータ、コイツはノイズが不安です。

用途をFIXしてから購入するときは擬似正弦波が優れる場合があります。安いし頑丈だしいいじゃないですか。同じ容量なら軽いことが多いのもいい。でも少なくとも私の身の回りでは、こうしたラッキーな場面は、製品組み込みや電気に詳しい人が利用者である場合を除いて殆どありません。

こうした次第で概論時にはホビイストまで含めてぜーんぶカッコで括って、正弦波崇拝するのが現実的なものとなります。おっしゃるようにクレーム回避術です。
また別の見方をすれば、かつてより正弦波を買うのが辛くないくらい安くなった。それで薦めてみたいというのもあります。
もひとつ。ホビーでの使い方でも「用途をFIX」というのはやはりプロだから考えることであって、フツーのホビイストはとりあえず何でもかんでもつなぎたくなってくる。そこで急に困ることのないように正弦波をすすめておきたい。そんな気持ちもあります。

投稿: よしどみ | 2005/08/19 20:01:28

私も、車用インバーターで故障したことがあります。
一台は、初期不良で、はじめから、無負荷状態でもヒューズが飛ぶもので、すぐに交換してもらいましたが、
もう一つの方は、スイッチを入れていない状態で、高い電圧(システム電圧の3.5倍)が、
かかった時に、破損したようで、後日故障を確認しました。

48V系を24V系に蓄電池を使ってして変圧する方式を実験していて、
系連携パネルの極性のおかげで、60V+48V=108Vの直流が生まれ、それがインバーターに流れたことでおきました。
(独立系とは同じ色で、接続したら、極性が違っていたので、このようなことがおきました。)

あと、ヒューズを頻繁に飛ばすような使い方
(その方に聞いたところ、冷蔵庫を、稼動すると、頻繁にヒューズが切れるといっていました。明らかに、最大瞬間電力が足りないようでした。)
すると、電圧に関係なく故障することがあるようです。
ただ、最大瞬間電力や、定格が少ない物で、
大きなものを動かそうとする方、始動電力のことや、定格を知らずに、いる方もいるので、このようなトラブルはなくならないのかもしれません。

投稿: ブルースカイ | 2005/10/23 8:38:41

ブルースカイさんこんにちは!
「大きなものを動かそうとする方、始動電力のことや、定格を知らずに、いる方もいるので、このようなトラブルはなくならないのかもしれません。」
少なくともホビイストの製品選定に当たっては、この言葉に尽きると思います。
ご自身でも色々とやってらっしゃるようですね。これからブルースカイさんのHPも拝見させていただきますね!今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: よしどみ | 2005/10/23 19:36:27

太陽熱発電、風力発電に興味があります。
太陽熱発電では、パネルのサイズの小売りにより、まずは、実験してからという家庭も多いかと思います。電気店などで、すでに発売が開始されており、LEDサークライン、LED電管など、Low Electoronics商品の市場への開発・販売など、期待しております。家の屋根を覆う高価なパネルと切り売りの2方向性があり、風力発電でも補うことができ、蓄電気装置があれば、もっと魅力的です。なにも、電力会社にまた売りする必要もないかと思います。

投稿: 加藤成樹 | 2011/09/16 18:53:10

加藤様、書き込みありがとうございます。
独立型も系統連系も、自分でやると楽しいですよ。少しずつチャレンジしてみてください。
ただしDIYの難点は、日本語環境では設計方法がわからないことです。日本語の実用書も学校、ともに皆無です。
したがって何もかもが英語から始まります。これが唯一つらいところ。
一方工事作業は他の建設業に比して圧倒的に易しいので安全管理をしっかりしておけば足りるでしょう。

投稿: よしどみ | 2011/09/18 9:28:34

LED電管で、ソケット(別売り)なしで、そのまま、8Wのグロスで、電気をつけています。明るくて、安全の電流です。ぜひ、10W,20w,40W,60W型などを製造され、貢献されてください。
発光LEDを直列につけて、通電すれば、普通の電管のようになります。よろしくお願いします。

投稿: 加藤成樹 | 2015/03/01 0:08:46

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