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2005.09.02

昨今の太陽電池価格動向

米ソーラーバズ社の2005年8月までの統計によると太陽電池のW単価は昨年の春頃を境にジワジワと上昇中。
august
詳しくは同社のホームページをご覧下さい。http://www.solarbuzz.com/

昨年秋くらいから太陽電池の素子となる多結晶シリコンの世界的供給不足が深刻化してきました。需要の伸びに原材料メーカーの投資が追いつかないのです。
8月31日の日経新聞によりますとシリコン原料は来年もさらに値上がりが予想されるとのこと。また石油の高騰を受けてスーパーストレート型太陽電池の表面を覆う板ガラスも値上がりしています。架台の原料となる金属材料や電線類の原価も高くなっています。

「日本市場のはなし」

日本ではデフレもあってか、今のところシリコン”不足”の影響が大きいようです。
「かつてよりも太陽電池の納品が遅くなった」など旺盛な需要に対してメーカー側の供給力が追いつかない場面も見られます。
一方、シリコン価格”上昇”による影響ですが、一部メーカーでは今月から代理店向け卸価格を僅かに値上げする予定。
他方には、NEF補助金の終了を受けて若干の値下げを行うメーカーもあり、各社の戦略は入り乱れています。
値付けも企業戦略のひとつですし、メーカーによってはまだ弾力性があるのでしょうか。
ただし定価改定などの小手先の変化では消費者にとっての費用は変わりません。むしろ、製品差による価格差、メーカーによる代理店納入価格の変動、代理店同士の市場競争、建設プロダクトとしての納品品質差による影響の方が大きいはずです。

旺盛な需要にささえられてきた日本の太陽光発電ですが、かつて無かった”値上げ”が出てくるところを見ると、その原価もほぼ横ばいに達しているとする見方でほぼ間違い無いでしょう。

ここで消費者としては、発電素子のワット単価が安いといわれるアモルファスやCISさらには色素増感に期待したくなります。
ところがこれらは面積効率が劣りますから、結晶系と比べて相対的に架台使用量や建設労務が大きくなります。中でも後付設置や陸屋根架台ではひどく不利です。これらは太陽電池単体としては安くても、システムとしてのトータルコスト低減の旗手とはなりえないのです。
ところがこれらやや効率が劣る太陽電池にも”建材一体型”という伏兵があります。太陽電池を屋根材一体型として用いる際は屋根の機能を兼用することから北面設置など設計の幅を広げる可能性もあります。モジュールの面積単価が安くなれば発電効率は低くとも建材としては優秀だからです。
ところが市場の8割は後付設置です。したがって余程の技術的ブレークスルーを見ない限り、あと10~20年くらいは継続して結晶系がシェアを握るのでは無いでしょうか。

ついでながら、時間軸に視点を移して、太陽電池の価格が2000年頃から殆ど変わらない理由を考えますと、
①シリコン太陽電池の量産効果が次第に頭打ちになってきたこと、
②商業化製品の薄膜化やセル効率上昇がダイナミックには進まないこと、
③台風など自然環境の厳しいわが国ではモジュールの大型化やサッシ部の薄肉化によるコスト削減にも限度があること、
などが挙げられます。
表現を変えれば、今よりコストを引き下げるには品質面のケチをしないと無理がありそうだということです。

次にシステムとしての太陽光発電ですが、主に架台をはじめとした周辺資材の簡素化と合理化、施工方法の合理化は既に2000年頃に成熟期に入っています。その後見られた費用低減傾向は市場競争とNEF補助金によるものでした。

しかし市場の自立を確認したとするNEFはまもなく補助金を終了します。
かつて助成を行っていた自治体も終了予定とするところが相次いでいます。
(撤退する自治体が増える原因。①自治体独力で不正受給防止策を維持するのは困難煩瑣②慢性的な担当人員不足③自治体にお金が無い。)
これは消費者にとっては残念なことですが、裏を返すと、これまで業者にとってひどく煩瑣だった助成金関係の書類進行業務から開放されることを意味します。
最も重い労務は注意深い設計作業と電気工事業者による電力協議を残すのみとなります。
すると次のシーンとして
①異業種の参入加速
②代理店間のさらなる競争激化
③設計・施工の手抜化による太陽光発電の物販化
が想像せられます。
ここでは平均的費用がさらに低廉化すると共に、納品物のチープ化も加速することでしょう。

高い高いと言われ続けて来た太陽光発電ですが、そのコストの大半を占めてきたのは太陽電池本体やインバータです。ところが今や太陽電池の価格はだいぶ落ち着いたため、システムコスト全体での占有率は以前より小さくなっています。
したがって今後の太陽光発電システムは、製品種類差、現地条件差、システム構成内容差や設計施工品質差の方がコスト全体における比重を増すに違いありません。
太陽光発電はもはやパソコンなどと同様、もはや値段のカッコで括るのが不可能になっています。

9月 2, 2005 太陽光発電のニュース |

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コメント

よしどみさんおはよう。
「納品物のチープ化」同感です、メーカー間の競争が激化すれば、東南アジアで生産させるメーカーも出てくるでしょう、ユーザーの選択の幅(質や価格)が広がるのであれば歓迎すべきかもしれない。
でも、果たしてユーザーが製品の評価を正しくできるだろうか、やはりそこには、メーカー支配に左右されない専門家の存在がかかせないと思います。
「NEF補助金」終了は、普及を目的としているのだから、一定の成果を上げた?ので廃止するのだろう。
しかし、ユーザーにとって今後、電力会社の売電単価が引き下げられる事態となった時(現在でも徐々に下がってきているが)、不利益を被るのは、既存のユーザー及び市場関係者だ。
電力自由化されているのだから、新たに複雑な補助金を創設するより、環境省または国の機関が優先的に長期間、単価を固定して電力を買い上げてほしいと思います。

投稿: aosam | 2005/09/04 10:14:37

aosamさん、こんばんは。

PVモジュールは昔と比べるとだんだん貧乏臭くなって居る部分があります。
先日、80年代後半~90年代初頭かと思われるトーネンの50W太陽電池を扱う機会に恵まれました。
これは、裏面に箔が入っており、湿気対策が充分になされていました。
またフレーム固定も四周にわたって高分子が充填されており、荷重への配慮が万全でした。
また、同時期のものはバイパスダイオードの交換が出来るものも少なくありません。
12V系では、うっかりすると現在のものの倍も耐久するんじゃないかと思いました。

しかし背面の箔はリークの原因にもなりますので回路電圧の高い系統連系用パネルでは排除すべき部品だと思います。

今後、太陽電池本体に限度を超えた省スペック化、低強度化のメスが入るとケチにしかならない場面が出てきましょう。
一方、現在は、贅肉を落としている面もあります。90年代前半、架台に使っていた肉厚のアルミなどは、オーバースペックと思われます。
今後は、最適化を超えた「ケチ化」を注視すべきでしょう。

なお、(太陽電池関係では)海外での製造品ですがマレーシア製やインド製は決して悪くはありません。中国製もそうだと思います。
機種によっては逆に日本製やアメリカ製の方がボロのことがあってびっくりすることがあります。
(ある機種の日本製ジャンクション緩みまくり、アメリカ製ガラス抜けまくりを踏まえて。)

助成。。。
やっぱり国や自治体の助成は、制度設計の問題になりますね。
ドイツ的なやり方はどうしてわが国では進まないのでしょう?
ドイツでは何故成功しているのでしょう?
これが問題のツボだと思います。

投稿: よしどみ | 2005/09/04 22:34:02

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