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2005.12.15

モノゴトの値段と社会を考える

構造計算の偽装問題で揺れる建設業界。
世論はよく知らんが、私は姉歯建築士だけが問題だなんてとても思えない。
では、販売した業者や関わったコンサルなどの問題だろうか?
とんでもない。わたしは国民全体そして消費者自身が被害者であり、加害者じゃないかと思うのだ。

○売れるということはマーケットが支持しているということ。
マーケットというと顔が見えないが他でも無い、自分自身であるということを消費者自身も知らなければならない。木村建設といい、安さが特徴にある。
安さは正義か?「安さ」の磁力は強い。
ここで消費者は、同時にリスクも想像し、消費者自身もリスクを負担すべきでは?
法律は人間が作るもの。したがって、法律は万能ではない。この自明さに誰もが気づくべき。そう私は強く訴えたい。「専門知識が無い」なんていうのは簡単。でも、そんな問題じゃないでしょう。モノゴトには相場もあるし、相場と著しいズレがあるならば、買い物にあたってその理由を自分で考えるくらいは、しなくちゃならない。
○詐欺に国費が投入されるべきだろうか。(「詐欺」の視点は、見積工場の菱田氏指摘)
住宅どころではない、トンデモな思いをしている人は他にもある。大手がしでかした不祥事は全て国が救うのか?制度設計に不備があったにせよ、国民の負担は特定の人を救うには、重過ぎる。バブル崩壊と銀行・ゼネコンへの公費投入を思い出す。
ガサツな大手会社は、見通しの甘い、したい放題のことをして、あえなく崩壊。
「社会的影響の大きさ」が懸念される。すると国が手を差し伸べる。儲けるときだけ儲けておいて、このパターンにはまれば、怖いものなし?お決まりのパターン。税金は何のため?
○「評価」の大切さを思う。自分自身がモノゴトの中身を見る眼だ。他人まかせが続くとこうなる。高度に専門化し、分業化した現代社会にあって、異業種の中身を見るのはとても難しい。それでも、と食いついて考える消費者はどれくらい居るだろう?私の本業の太陽光発電にしても、設置前も設置後も安心しきって、何の感想も無く居る人が少なく無い。業者たる私にとって、私を信じてくださっていることはありがたい。でも興味が潰えたかもしれないと考えると残念に思うし、彼らは保身が出来ていないのか、とも思ったりする。よろいかぶとに身を固めなければならない世の中なのはさびしいことだ。だけど、生き物としての人間は身を堅くし自らの内と外に潜む敵に眼を凝らすことを忘れてはならない。

最近、太陽光発電の電気工事を6万円という業者に会った。
この費用はまるで無理。
・現地調査と設計、電力申請協議書の作成、資材手配。
・工事
・電力検査、書類納入
都合、最低限3日は動くことになる。
電材原価は、品質にもよるが、1.5~4万だろう。
すると残額の1/3が人件費+交通費+利益+納税になる。
歩いてゆける現場だとしても、6万円から1.5万引いたとしたら4.5万しか残らない。
一日1.5万。
これで3日を働くというと、電話代も自動車も要らない現場だ。
よしんば、一日が純然たる1.5万だとすると税が約半分なので一日7500円。
サラリーマンにすれば、会社は大赤字状態で自動車も事務所も電話もなし。
こうしたムチャクチャな条件で全社員が18万7500円の月給。と、こういう勘定になる。
会社の健全性を維持しつつ、ある程度マトモな材料を使っていれば、この業者の社員さんの月給、10万円もおぼつかない。
これでは、まるで継続性もなく、ありえない。
屋根の工事についても、3kwで10万なんていうのもある。
もう、これは脱税以外に方法は無い。

例えば住宅のエアコン業界が殆どこのなりゆきにまかされている様相。
個人事業者であって、納税をしていない、申告をしていない業者であれば受領金額はそのまま丸儲けなので一台数千円という「ありえない」金額が出てくる。ここにも構造偽装に負けず劣らずの法律違反が潜んでいる。

構造偽装をきっかけに、「安さの磁力」と費用的技術的「ありえなさ」についても考えて見たい。

12月 15, 2005 私の話 |

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コメント

よしどみさん こんにちは。
「安さの磁力」はとんでもなく強力な磁力です。工業製品の場合は、同じ型番なら品質に大差が無いことが多いので、大抵は値段だけ見ていれば良いことが多いですが、電気工事等設置工事がいるものになると、作業の内容、期間、施工前の状態など、価格以外に重要なことが多くなります。
工業製品は、量産。施工は、カスタムメイドなので、より慎重な施工が必要と思います。


投稿: ブルースカイ | 2005/12/16 17:50:36

販売するものが、テレビなどそれ自体完結し、そのまま使える工業製品なら問題ありません。
一方、エアコンや太陽光、建物など設計や施工を伴う場合は、エアコンも太陽電池も、部品に過ぎないことを誰もが、認識すべきです。
安さの磁力が向かうべきは、家電や文房具など単体で使えるものに限られるでしょう。全く同じものなら安い方が良いはずです。

投稿: よしどみ | 2005/12/17 18:56:43

よしどみさん、こんにちは。
「工業製品なら~」価格で選んでも問題が少ない。
全く同じものなら、安いほうが良い。には同感ですが、ここにも落とし穴があり、価格が安い代わりに、品質が低いものもあります。見極めは相変わらず必要かとお思います。

でも、基本的にはどんなものでもひとつのパーツに過ぎないような気がします。
生活の中に完成品が多くなり工作や自作に頼らず、お金で解決できることが多くなったから、内容を確認せずに、金額だけで安易に考える方が多くなったと思います。
ではまた。


投稿: ブルースカイ | 2005/12/18 9:36:01

ブルースカイさんこんばんは。
そうですね。
ウチでは100円ショップのクリアファイルを使っていますが、この中にも良品と粗悪品あり。
粗悪品はすぐに袋がやぶれてしまうのです。
日用品レベルなら構わないのかも知れませんが、太陽電池や住宅も実情は似たようなものと感じます。

投稿: よしどみ | 2005/12/18 23:49:54

こんばんわ~。

「構造計算の偽装問題で揺れる建設業界。
~わたしは国民全体そして消費者自身が被害者であり、加害者じゃないかと思うのだ」

姉歯、木村建設、共に倒産寸前だから何でもやるだろう、手抜き工事も相当やっていそうだが、それを正当化したことは凄い、それとそいつらを利用し儲けたやつが一番悪い。

「ムチャクチャな条件で全社員が18万7500円の月給」~こちらの水準では、10年前からそれに近い水準で、差別化や付加価値のつけられない業者は廃業しています。
廃業する業者が増えると個人事業者が増加するため工賃のムチャクチャが進むという、ムチャクチャスパイラルです(笑)。

投稿: aosam | 2005/12/19 20:14:03

aosamさんこんばんは~

車も事務所も納税も無し、で18万5千円はさすがに無いでしょう。車や工具なしじゃ無理です。4人ほどの組織で自動車維持費や電話代や工具損料や税金を引いたら月給10万どころか、5万も無いんじゃないかな。
廃業する業者が増えると個人事業者が増えるって、わかる気がします。何の登録もしなければ税務署も来ないから工賃のムチャクチャは進むでしょう。でもちゃんとやっているところもあるし。。。ちゃんとやっているところが苦しくなるのは困ったものです。
ムチャクチャスパイラルは価格の独り歩きが、、、イカンですわ。

投稿: よしどみ | 2005/12/19 22:09:35

よしどみさん、こんにちは。
無茶な価格スパイラル。ある意味耐震偽装の影にある問題と思います。
設計士や、検査会社、施工会社も悪いが、
無理な工事をさせたところが一番悪い。
(ヒューザー。総研。)
仮に、基準や決まりを強化して、徹底させたとしても、無理な価格要求が残ると、いずれ再燃する可能性があります。(建物でなくても、)
極端に言うと、価格でしか物を選ぶことが出来ない消費者が多い状態が残る限り、どこかが、安い価格で、無理な工事を行うようになる可能性が残ってしまいます。
別の分野では、牛肉偽装なども、利益に絡んでいるので、似たようなものです。
この問題は、消費者の購入時の選択肢が引き起こしている一面も持っています。
(いろいろなものの、機能や耐久性を見ずに、見た目と価格で選ぶ方が多いことも要因としてあると思います。)
一人一人の消費者が、賢い選択ができないと根本的な解決は望めない気もいたします。
それが無理でも、物件調査に、専門知識を持つ方を借りるとか、未然に予防する手段もあると思います。
最後に、生き残るには、信頼される工事を継続して行うことが出来るかどうかと思います。
工事は残るものなので、手抜きはいずれぼろが出ます。ではまた。

投稿: ブルースカイ | 2005/12/20 18:50:48

>どこかが、安い価格で、無理な工事を行うようになる可能性が残ってしまいます。
そうなんです。要望がある限り、結局誰かが、やるのです。この問題に対して、モラルを云々していても解決しないでしょう。規制を強化しても始まらないでしょう。どうしたって、要望がある限り、誰かが、やるのです。
すると、私の考えでは、消費者側の意識改革が必要という結論になるのです。

投稿: よしどみ | 2005/12/21 22:42:27

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