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2006.01.16

雷と住宅太陽光発電

雷は落ちないの?

この疑問は、下記の2つに整理できます。

1:太陽電池を設置することで雷被害が増えるか?
2:(高価な)太陽光発電システムが雷害に遭うことは無いのか?

まず雷害を心配する消費者は、自らが何を心配しているのかを自問自答し、1か2かを見極めてください。

なお、メーカーがFAQなどで答えているのは、この疑問を1と見なした回答です。
「太陽電池を設置したからと言って、雷が落ちやすくなることはありません。」
まさしくその通りです。弊社の経験でも間違いないところです。

ところが、2をするどく指摘するお客さんもあるのです。
全くその心配は的を得ています。
つまり、太陽光発電システムが雷害に遭うことはあります。
誘導雷によりパワコンが故障してしまうことがあるのです。
もちろん、カタログ内に「パワコンや接続箱内にZNRがあるので大丈夫」というメーカーさんもありますが、あまりにも雷エネルギーが大きい場合や襲来頻度が高い場合にはこれも焼損してしまいます。
これまでも、地域的にこれらの故障がありました。

そこで私達は襲来頻度が高い地域には、内線規程(JEAC8001-2005)の1-3-15や1-3-16にあるような形で避雷器を設置するようおすすめしています。衛兵としてこれを備えておけば、ここで波高値が下がり、パワコン内蔵のZNRを傷める度合いが少なくなると考える次第です。
この対策をやりはじめて7年ほど経ちましたが、弊社設置例に豪雪地や日本海側でパワコン故障が無いのを見ると、おまじない以上の効果があるようです。ここに、同業者様にも強くおすすめします。

なお、太陽電池は雷で故障したことはありません。
人が住む平野部では心配無用と言って良いでしょう。
何かあったとしてもそれはレアケースです。
一度、この件について保険会社に相談してみましたが保険料が50万円ほどもかかるとのこと。金額を聞くとここまで稀な天災に備えるのは、意味がないと思いました。
肝心なのは、必要なこととそうでないことの取捨選択に違いありません。

一方、独立型については、別の考え方をしなければなりません。
ホビイストや行政の環境アピール的な小規模のシステムの場合、せいぜい6~24V系です。この程度の電圧系では、法にも触れませんので雷エネルギーの侵入経路となるアースを施工しないのが良いです。コントローラの製造メーカーはアースの大切さをマニュアルに説きますが、これらは直流片線接地を採る米国の製品です。
日本では、直流非接地式の配線になりますからアースを取らずに却ってフローティングしているほうが、誘導雷による機器故障リスクは低くなります。
困ったことに木造の山小屋など、感電リスクが著しく低い場所では、100VインバーターのFGもフローティングさせるのが良い結果を生みます。法によらぬのが良いケースがあるのです。事実上、慣習になっていますし、規制に意味がない分野はやはり存在し、TPOがあります。

1月 16, 2006 FAQ(住宅太陽光) |

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コメント

雷様怖いですね、我が家は雷の通り道に属し多発地帯でもあります。年間を通じて季節を問わず雷が鳴り響くのです。
「雷と住宅太陽光発電」に書かれているように全くその通りだと頷いてしまいました。雷被害につていては客先でも、自身も体験者者であり、雷のエネルギー密度には驚かされます。

雷サージ電流が通過するとエネルギー密度にもよりますが雷対策素子は焼損するか又は破壊(飛散)するなどしますね。電子回路基盤においては通過電流でパターンが断線してしまうのが通例です。
私は自作独立系発電システムの設置当初人体安全を考えて接地処理していたのですが誘導雷被害にあってから人体安全を無視して接地するのをやめています。(よしどみさんの説明にある理由から)

過去に通信機器の雷サージテスト(印加電圧各種条件で最大6万ボルト50μSec程度)を朝から晩まで缶詰状態になり間歇ですが数年間体験してきました。結論からいうと当たり前の事ですが雷の通過電流は絶縁の弱いところが破られます。更に直撃に近い状態で入り込んだ場合はZNRやアレスタなどでは抑えきれず被害が出てしまいます。もっとハッキリ言ってしまうと直撃雷を受けてしまうと何をやっても防ぎきれないというのが現状における私の結論です。

無接地にしたとしてもエネルギー密度が高く入り込むと上記と同じ現象が発生しますね。この様に電子機器において雷対策してあっても故障するから雷被害による保険適用になっているのではないでしょうか?
雷様クワバラ クワバラ

投稿: たいよう | 2006/01/17 4:18:20

よしどみさん、こんばんわ。

当然ご存知だと思いますけど。

誘導雷について注意すべき点は、電力の変圧器のEBとパワコンECの距離が遠いほど潜在的に危険です(落雷点の方向にもよります)。
それは、アース間の電位差がパワコンの基盤の数ミリの間に誘起されるためです。

次に多いのが、柱上に変圧器とアレスター(高圧用)が併設されている場合は、接地極は別ですがあまりにも極間が近いために、アレスター動作時にEBに電圧が誘起され上記と同様になります(防止するには最低10mの離隔が必要)。

個人的には、電灯回路の中性線とパワコンEC間に感度のよいZNR取り付けが有効と思います。あとは出来ればパワコンアースは電柱に近い方がいい、そして電力のアレスターの存在をチェックする。

独立系については同感ですが、誘導雷対策としてはアースしないほうがいいけど、直撃雷対策というか被害を最小限(家電等)に留めるほうがいいのか、確率の問題では前者に軍配が上がりそうです。

投稿: aosam | 2006/01/17 18:30:21

たいようさん

6万ボルト50μSecですか。
私の愛用の”組ZNR”?(こういうものの呼称不明)を見ると放電耐量が10kA(8*20μSec、2回)とあります。動作開始が線間390V・大地間600V。これであとは負荷機器内蔵のZNRにおまかせという感じです。

それから、”無接地”についてはその”必要性”すら感じています。岩だらけでアースの値が出ない場所で、ノイズ対策としてFGを接地したことがあるのですが、ここで誘導雷により接地から入ったサージが室内でアーク放電し、あわや死ぬかという思いをしました。室内のあちこちで稲妻が走った恐怖は忘れられません。以後で岩だらけの山では非接地を推奨しています。独立型は、法律違反の使用電圧であろうとも、誘導雷ごときで死にたくないです。
直撃は。くわばらくわばら。。。祈るしか(汗)

aosamさん

電力の変圧器のEBとパワコンECの距離は電気的に近くする必要がありますね。
線は太く短くが理想ですが、どうにもならない場合もあります。
私も電灯回路の中性線とパワコンECの間、賛成です。また、そうしています。

実務上の要点整理をありがとうございます。
●引き込み口点により近くZNRをつけること●EB~EC間が短いことを組み合わせるのが有効度を高める工夫ということですね。

投稿: よしどみ | 2006/01/17 21:34:30

よしどみさん
通常は10KA**μSeec、20kv**μSeecの印加パルスですね、輸出関連を対象にしたりするので限界耐量テストしていたのです。
ご指摘のようにVAで表現しなければいけませんでした。

印加電圧はコンデンサにチャージしたもの放電させる仕組みですけど装置は巨大です。
この試験とても危険なのだ隔離された部屋で必ず複数の人で作業するように義務付けられていましたね。

投稿: たいよう | 2006/01/18 7:18:58

誤記訂正です
10kAでなく10KV

投稿: たいよう | 2006/01/18 7:50:34

機器の試験時印加パワーは電圧で示し、避雷器の性能表記は電流で示すようです。
考えてみれば避雷器にかかる電圧は接地抵抗値に依存しますので電流で示すのでしょうね。

投稿: よしどみ | 2006/01/18 13:56:10

お世話になります
しろうとなので、専門用語がわかりません。

パワコンEC
変圧器のEB

とは何を示しますか?教えてください。

よろしくお願いします。

投稿: さとう | 2006/07/13 13:46:43

さとうさん、こんばんは。
パワコンECとはパワコンの法定アース。
変圧器EBとは変圧器の法定アース。
上では、両者が近いほうが良い場面(誘導雷)について話しているわけです。

投稿: よしどみ | 2006/07/13 21:04:55

よしどみさん、こんばんわ
過去の記事に関連させて書き込みさせていただきました。

雷被害(3回目)に遭遇
3年半前に独立型太陽光追尾発電の制御系に被害をうけましたが、2012-10-20早朝に今度は発電電力の充放電記録用センサー系と太陽光追尾手動用の制御系素子に被害をうけました。
今回も商用電源系からの回り込みで、以前対策した場所は問題なかったのですが弱い場所を探すように入り込んで来ました。まるでイタチごっこのようです。

商用電源と独立系(計測系および制御系含む)の完全分離すれば多分被害リスクは格段に低下すると推測していますがコストの関係で中々踏み切れません。
バッテリー電圧が低下している場合は、商用電源から電源供給してパネルの太陽光追尾したり、バッテリの補充電をしたりする仕組みがアダとなっています。

業界の独立系システムではそもそも商用電源との混在はあり得ないでしょうか?

当地域は雷の多発地帯で、今回の落雷も50メートル程先方の電線に落ちて、漏電ブレーカが下がりました。・・・近所も停電したようです。

投稿: KK | 2012/11/05 21:46:43

kkさんごぶさたしております.

 エネルギーが大きく頻度の高い日本海側と平原の中の一軒家などは(それほど普及しないだろうと)例外扱いしてきましたが,近年急速に普及してきたので,最近の私は,どの物件についてもClassⅡ避雷器や等電位ボンディングを強く薦めています.(宗旨替え)

 計装から入るのはどこでも同じようですね.アイソレータは入ってましたっけ?計装業者が用いるユニットならまとめ買いすれば一台数千円になるのではないかと思います.

 それほどまでの頻度でしたらいっそのこと,独立インバータをトランス入りにしておくのもよいと思います.近頃は少しは安価なものが出回っているのかもしれません.あるいは,現在のインバータに絶縁トランスを足してしまうのも現実的な対処でしょうね.

 しかし,信頼性を上げるには手間がかかりますねぇ.まぁ本来,そうすべきことをそうするというだけなのですが,なかなか...

投稿: よしどみ | 2012/11/07 21:18:00

:コメントありがとうございます。
計装のアイソレーションはPVとはホール素子でとれていますが、計装電源は商用と独立の自動切り替えで供給していました。
今回商用電源から切り離して独立させました。
絶縁トランスのアドバイスをいただきましたが、本来なら制御系も含めてトランスを介在させて供給するべきでしたね、検討してみます。
電源効率の低下とトランス事故(焼損など)が怖くて初めから対策から除外していました。しかし、ここまで来たら検討しなければ今後が不安なのでこのアドバイスを機会に再度検討してみます。

投稿: kk | 2012/11/09 8:44:09

kkさん

雷対策やアイソレーションや・・・安全設計に関しては,太陽電池が安くなりすぎて,考え方を変えないとならないフェーズに入ってきました.
全部見直しかもしれないですよ.
電源部を安物PVを使って絶縁供給するのもアリかもしれません.価値論の世界に立ちもどってしまいます.(きっと,これが本来なのですけどね)

投稿: よしどみ | 2012/11/10 1:58:18

よしどみさん
WEB検索するとまさに電源独立論が語られていますが、小生のような雷多発地帯に居住する場合は別として、そこまで対策してデータ取得するのは事業レベルを除くと本末転倒の様にさえ思える時があります。

今回は、ダメもとでトランスを介在させてみます。トランスはストレーキャパシタが存在するので危険が一杯ですけど・・・トランスは既に発注しました。

投稿: kk | 2012/11/11 21:50:08

kkさん,それは耐雷トランスではないですよね?
普通の絶縁トランスでどの程度効果が出るか,その予備データ取得になるのではないでしょうか.

投稿: よしどみ | 2012/11/19 17:58:44

よしどみさん、少しwebを留守にしていました。
その通りです。

安全基準をクリアした国産の一般シールド付絶縁トランスです。
絶縁トランスのプライマリとセカンダリに更にサージ素子を付加しましたが実は、成果をあまり期待していません。雷の威力が如何なるものか過去に疑似体験しましたので。

投稿: kk | 2012/11/21 16:29:54

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