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2008.04.10

法令と規格②-②

②では、風荷重に言及しました。もう少し丁寧に見てみます。
なんでもかんでも既存の規格を当てはめるようでは、安全を確保できない場合があるからです。規格先にありき、じゃないんですね。モデルをちゃんと選択しないとならない。
使いたい規格とやろうとしていることのモデルが違ったら、ちゃんとそれに気付かないとならない。諸法令や規格のもととなった論文や、実験データを見ますと、とにかくモデリングの重要性が見えてきます。その内容はいずれ説明する(長大なのでブログごときでは説明できない気がする)として、いくつか例を挙げてみましょう。

Shuen
この図では、左はJISで解けますが、右は風圧力の強い辺縁部(局部)にかかっていますから、告示の解説書や内外の風洞実験データを用いて計算することになります。Cfが厄介なのですが、庇と同じ解き方になります。外装材・構造材関係の建築士さんなら分かる人もあると思います。

Bunkatu

この図では、左は内圧が高い構造骨組。右は梁がつながっていないので1458号の外装材として扱います。(絵ではつながってますが、つながっていないつもり)右図のようなバラバラ設置の場合、冗長性が低く、左図の1.5倍程度の等価静的風荷重を見込む必要があります。

Heisokuこれは日本では余り整理されていませんが、右のは等圧効果が働きます。上に持ち上がるのと下に引っ張られるのとがつりあうように働くわけです。つまり、風圧力のベクトル和が安全側にある。
左の場合は、ウチではアレイ下閉塞と呼び、負圧のCfを増しています。実際に実験をすると幾らお金があっても足りないので、私は内外の風洞データを使います。英国やオランダでは数表から引けるように良く整理しています。

外力の種類は他に地震と雪があります。施工荷重、温度荷重なんてのもある。
地震については、一質点系で考えれば分かるとおり、太陽電池なんか付けないほうが良いに決まってます。不安であれば自治体が用意している耐震診断サービスを受けた後で太陽光発電設置を検討するのが望ましいでしょうね。
雪は、もう少し厄介です。法に基づく検討だけでは、不十分なことが多いのです。
また今度お話します。

しかしなおもこれらの外力のうち、一番気になるのは、風です。
アレイ崩壊の大事故は、その殆どが風によるものです。

今回はモデリングの話でした。
建築基準法を守るとか、規格を守るという言い方がありますけど、そうじゃないんです。
やろうとしている工学的モデルと違う法令を参照していたら、まるで答えが違っちゃうんです。そういうことを言いたかったわけです。しかし、太陽光発電の工学に関する法令が体系化されていないわが国の現状では、法令や規格の背景となった諸論文を片っ端から読むしか無いようです。法令や規格にすらなっていないこともあります。そのような場合は、実験データを参照するしかありません。これは、初めてPVに取組む人の、最初の関門となりましょう。

有用な資料名として、
・改正建築基準法の構造関係規定の技術的背景
・建築物荷重指針2004
・建築物の構造関係技術基準解説書
を挙げて置きます。

また、以下も参考になります。
DIN1055-4
Eurocode1-4
AS/NZS1170
BS5534,BS6399
おすすめはASCEの7-05でしょうか。そのままわが国に用いるわけにはいきませんが、内容が充実しています。

NEDOやJPEAの教科書も使える場面は使えますが、モデルの種類があまりに少ない。
時には誤設計・誤計算の原因になっています。
また、設置形態によっては、屋根業界が提供する数表が有用だったりします。
これは太陽電池メーカーとか特定の利害関係者が作ったものと異なり、法に基づいて手計算しても同じ結果が得られます。そんな客観性の高さが素晴らしい。
でも、なおも、日本語資料はあちこちの分野に散らかっています。
今のままでは機械設計屋さんみたいに資料収集を苦労し続けなくちゃならないでしょう。
いつの日か、日本語の設計用資料が体系的に充実することを願っています。

4月 10, 2008 技術者必読資料 |

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