« 技術情報の公開に関して | トップページ | PVグリーン計量法阻止ちょっと待った! »

2008.05.16

保守点検はやはり必要だ

朝日新聞に産業技術総合研究所の加藤和彦博士の記事が載っていました。
公の立場から初めて太陽光発電のメンテナンスフリー伝説に一石を投じたものとして大変貴重です。
http://homepage2.nifty.com/domi/jigyougaiyou/c20080515ASAHI.pdf

ここでは、以下語られています。
●加藤博士の日常活動
氏の意思、ユーザーの協力に支えられた、独自の実態調査
●問題提起
太陽光発電は大変高価である。
にも関わらず定期点検など保守に関する意識が浅い。
●裏づけとなる”あるエピソード”
あるユーザー宅で発電量低下が発生。
業者の点検では異常なし
パワコン交換費用35万円の見積だけ業者から送られてきた。
博士が現地を調査するとコネクタ抜けだった。
※既知の調査方法では誤診断する例があることの暗示
●状況認識
メーカや業者が故障や不具合の発見につとめるべき。
しかしながら
・法的義務付けが無い。
・技術者の意識や知識、装備は不足している。
・既知の点検項目も故障の有無を積極的に見つけるには不十分な内容である。
上記背景から、トラブル、事故の未然防止、発見は到底かなわない。
●意見
・確かに、太陽電池は”原理的には”メンテフリーである。
・しかし工業製品としての太陽光発電システムは(これまでの博士の調査では)メンテフリーであるとはいえない。※1
・”システム”はメンテナンスが必要。
・しかし現場での性能把握が困難なことを理由に関係者はメンテナンスを避けていないだろうか。
・行政や業界が、保守点検システムの構築、技術者の育成に積極的に取組むべき。
・設置しておしまいではなく、設置してからがはじまりである。※2

※1
太陽電池原料は、シリコン、いわば石である。だから壊れにくい。
しかし、”石”から有効電力を取り出すには電極形成、配線、電力変換など石ではない技術、素材と関わりあう全体、即ち”システム”が必要。この全体は、”石”より弱い。博士の指す工業製品とは”石”単体でなく”システム”である。
※2
kWという指標に代表されるシステムを設置してもそれは機材の量に過ぎない。kWを発電する最大能力に過ぎない。実際のシステムは、設備規模の大きさで量られるべきものではない。一台の10kWディーゼル発電機を考えてみよう。その生涯に1時間しか運転しなければ10kWhの価値しかない。かたや1kWの発電機が10時間運転したらどうだろう、やはり10kWhと同等である。太陽光発電システムは日射とシステム構成に応じて刻々と発電量が移り変わる。この変動のコントロールはシステムが預かる。太陽光発電システムにとっては、太陽電池そのものの量ではなく、太陽光発電システムが生む発電量がすべてなのである。必要なのは設備規模ではない。その設備の供用期間内に発電する量なのである。

原文は用語の平易に比して非常に難解だが、ここでは二つのことを示唆している。
①メンテナンスによって生産量を伸ばすことの重要性。
②メンテナンス方法を確立することの重要性。

システムに関わる諸氏にとって興味深いのは②だろう。
方法がわからなければ、①はかなわぬからだ。
②について、他のエピソードを別項でご紹介してみたいと思う。

5月 16, 2008 太陽光発電のニュース |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/20905/41221358

この記事へのトラックバック一覧です: 保守点検はやはり必要だ:

コメント

コメントを書く