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2009.05.17

太陽光発電システムをもっと安く??

昨年は福田さんがややこしいことを言い出したので、多くの業者が苦労したことと思う。「太陽光発電を半額にする!!・・・そんなこと言ったらユーザー候補達は買い控えするに決まってる。
現に僕等の仲間内の一社もこの爆弾発表から半年間に100件を申請したものの実行になったのはたったの15件だったと言う。
(申請とは、現場調査、設計、電力協議開始を言う。実行とは契約&設置に至ったもの)
業者側のコストの多くは前者が占めるので堪らない。
実行にならない分は、働き損である。

ともかく彼の会社も、僕の会社も零細だから生き延びた。
太陽光市場がダメならば他の得意分野で食いつなぐことは容易いのである。
一方、中堅どころは大抵が商社だし、社員は養わなければならないし、融通が利かないので大分つぶれてしまった。

本当に半額になるのか?
ここに言及しておいたほうが良いと思う。
太陽光発電システムは、太陽電池とそれを取り付ける架台、電線、パワーコンディショナといったハードウェアとこれらの機器を適切に組み合わせ動かすための環境づくり、つまり設計や工事といったソフトウェアから成る。
福田さんや官僚の意図は「太陽電池と周辺機材を半額に」だったと思うのだが、国民には上手く伝わらなかったようだ。

多くの設置希望者は、太陽電池の値段と太陽光発電システムの値段を区別しない。換言すれば、倉庫にある太陽電池山と、屋根に設置し配線接続し、動くようになった太陽光発電システムとを区別しないと言うこと。
大変な無教養時代になってしまったものだと思う。
野積みになった建築資材を住宅価格と同じだと思う人はどこにも居ないと思うのだが。


因みに、太陽光発電システムに占める太陽電池コストの割合は、最も容易い物件でも4割しかない。難物件では(住宅ですら)2割を割り込む。
だから太陽電池がタダになっても、現状の6割を割ることはあるまい。
このように太陽電池が安くなっても、”システム”は大して安くならないのだ。

政治家や役人達は太陽電池さえ安ければもっと普及する筈と、お念仏を唱え続けているが、この考えは早く捨てたほうが良いだろう。
太陽電池が高かったのは10~20年前のこと(今の2~15倍)
当時は太陽電池コストがシステム価格の8割以上を占めた。
今の政策は過去の幻想を追いすぎていて、全く無理がある。
既に変化してしまった状況から、政策を練り直さないとダメですよ。
もう、太陽電池は充分に安いのです。

なおも政治家や官僚がジタバタとワケのワカラン政策を打ち出すとどうなるか。売れる時期と売れない時期が極端になって、ますます専業事業者の経営は圧迫されるだろう。
個々の事業者の経営など、実は国政の大局観にとってはどうでもよろしい。
少なくとも私はそう思う。
しかし、個々の事業者が継続し、力を伸ばさない限り、適切に設置する技術者とその組織はこの日本には育たないだろう。
現に、ユーザー候補と販売者は有り余っている。
一見普及への壁は無い。
にも関わらず、思うように普及が伸びないのは何故だろう?
一体全体に技術者不足がひどいのだ。
技術者は、販売者や工事人などよりも育成に時間がかかる。
政策がジタバタとしていつまでも揺れ動く限り、彼らを育てる余裕などこの業界のどこも醸成されない。

5月 17, 2009 住宅太陽光発電システム |

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コメント

古い情報で恐縮ですが、新エネルギー財団報告では平成19年度のシステム平均価格69.6万中、太陽電池パネルを43.6万(62.6%)としており、記事中の2〜4割 とのご指摘との差が大きいように見えます。

投稿: 佐藤 | 2009/07/05 23:50:20

佐藤さんこんばんは。
公的統計の平均と実態は分けて考えないとならないでしょう。佐藤さんと私はおそらく議論のスコープが違うのだと思います。
NEF補助を受ける物件は、NEF仕様、経産省目標に基づいている必要があることから、当然バイアスを受けます。(技術仕様ではなく)
つまり、補助を受給したいユーザーと業者はNEF統計を見ていますから、この範囲に収まっていることを確認してから補助申請を行う傾向が出てきます。例えば、建築側改修を要しない場合や建築改修をサボる場合などです。

一方、多くのシステム設置場所は建築改修を要します。例えば、陸屋根系統連系やスタンドアローンシステム、豪雪地域、強風地域、沿岸地域に設置するシステムもこの範囲に漏れ、特殊モジュール、煩雑な技術検討を要するシステムとなります。
想定する一般状況から漏れ排除されたものを再取り込みした統計は、モジュールの総コスト比6割などならないはずです。
統計に表れる補助を得ないユーザーが意外にも多いという事実を知ってもらえたらと思います。

裏を返せば、補助要件に適合しないユーザー達は置き去りにされているとも言えます。
今年も70万円/kwのキャップがあるために、名目上キャップ内にあるような申請が暗に行われています。
あるいは、キャップを超えるユーザーは、自費対応しています。
公的統計は、その対象とするスコープが十分に広くないと客観性を担保しにくい性質を持つのです。

投稿: よしどみ | 2009/07/06 2:00:24

よしどみ様コメントありがとうございます。
まさに、ご指摘のように議論のスコープが違うこと理解できました。
貴サイトはじめ勉強してみます。

投稿: 佐藤 | 2009/07/07 0:29:54

先日とある検索でここを見つけていました。
きょう、すこし掘り下げてみたらわたしがうすうす感じていた疑問などがかなりリアルに述べられていて気になって来ました。

難しいことはとりあえず置いておき、
地球環境をすこしでも温存するためには太陽光発電の世帯1割設置がまずは必要と思います。
地球温暖化防止に必要なのは電気自動車でもなく(ハイブリット含む)原発でもなく太陽光発電です。
今の環境対策はらしく見える景気対策の様な気がします。
環境と経済は相反する問題です。
それをうまくバランスさせるのが政治の役目です。
お分かりのように、日本はかつて太陽光パネルの生産(設置は別か…。)世界一でしたが近年は抜かれています。
それは政治が環境にあまりに疎かったから。
油断しているうちに諸外国に貴重な技術などが流出したかもしれません。
他党の悪口を言うために議員をしている人は即刻退場して庶民レベルのアルバイトをして国民の生活を勉強した方が国のためです。

私の自宅には5年ほど前に太陽光システムを設置しました。
システム設置にかかる環境負荷は約2年で解消するという話を聞いて設置に踏み切りました。
私が考えじめていたころは一般用でも1千万円くらいでしたがしばらくして600万円程度になり、
遠い夢と思いながら業者さんにアプローチし始めて2年くらいたったところで400万程度。
当時ギリギリ間に合ったNEDの補助を使って予算いっぱいの360万円で設置にこぎつけました。
少し割高のサンヨー製にしたのは大正解。
5.04KWシステムで夜が明けさえすれば雨でも売電しています。
雨で5KW/H、くもりで10~15、晴れれば20~30KW/H売電します。

エアコンがフル回転するピーク時に発電しますので事実上、ピーク対策と思われる原発は太陽光の1割設置で不要と思います。
ちなみに割安の深夜電力と太陽光に抱き合わせるとお得というオール電化は売電に少し困っている電力会社のうまい逃げ道に見えたりします。(エコキュート、電気温水器。)

クルマの話ですが、大飯喰らいのレクサスハイブリットはあれでエコカーらしいです。
(トヨタのクルマも好きですけどね。)


投稿: さかい | 2009/07/26 13:30:48

さかいさん。
三洋とは良かったですね。
故障が少なく、発電量も多いです。
そういう意味では、高いか安いかは、機能を失い、安全性を失い、廃棄する頃にならないとわからないでしょうね。

投稿: よしどみ | 2009/07/28 1:13:56

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