2005.10.11

MP点と独立型太陽電池

ivmpp 「3Rと太陽電池」の話のときに、すぎやまさんがコメントして下さったので、もう少しその話をしようと思う。寄り道が多くなってしまったらゴメンナサイ。

太陽電池は、負荷が要求する電流電圧によって最大電力が変動する。これを示したのをIVカーブと言う。で、左の図が理想的な状態。
緑色で塗られた面積=定格出力というわけ。
この太陽電池では、最大出力の130Wほどを取り出すのに19V~20V付近で使うと具合が良いことがわかる。この時電圧電流積は最大。このIVカーブ上の点を最大電力点をMPP(マックスパワーポイント)と言う。身近なところでは、住宅用のパワコンは自動的にこの点を追いかけるよう制御されている。住宅用の場合、割合ちゃらんぽらんな人が工事をしてもまぁまぁ満足そうに動くのはこのお陰。

iv144一方、同じ太陽電池をPWMチャーコンやオンオフチャーコンを介して12V電池に接続すると次の図のように(蓄電池の種類にもよるけど)14.4V程度に落ち着いて、太陽電池の動作点が左に移動する。上の図と比べて面積(発電電力)が下がっているのがわかるだろうか?
ここで太陽電池の定格発電量を100として比を計算すると、約80%の出力しか得られない。
ちょっともったいない使い方に感じる。でも、そもそも実際の太陽電池は上図の緑の面積で示された定格出力が得られることは稀。太陽電池の定格出力を定義しているのはJISCシリーズだけれども、この規格によるとセル温度25℃を基準にしている。屋根の上が25℃なんて、普段は、無い。工事していても太陽電池に触れられないほどの熱さになるし、実測すると春夏秋の間では、50~80℃にもなっている。そして一般結晶系のセル電圧には負の温度係数があるため実使用時にはもっと低い電圧で動作している。こうした次第で例え適切にMP点を追いかけたところでそもそも定格が出ることは無いのだから、オレンジの面積も、比例式ほど悪くは無い。また、ガッシングを必要とするレダシッドタイプの12V電池にはとても適している。(赤道直下なんか最高でしょうね。なお、蓄電池にも温度係数もあるから、大真面目なインストール時は、同時に蓄電池側からも考察する必要があります)

話がずれてしまった。。。

iv24さて今度は こいつを24V系で組むとどうなるだろうか、左の図のように小さい紫の面積の分しかその能力が得られない。定格比14%ほど。
これはいけませんねぇ。どうやっても、温度係数によってこれよりも低い電圧になるし、バルク充電どころか普通のアブソーブ充電も出来やしない。

えーと、独立型がお好きな皆さんやすぎやまさんと会話しようとしていたのですが、解説に力を入れてしまったため、54セルネタはまたにします。パラメーター値を導出し、描画するのが大変だからねぇ。これだけでも、イラレで色塗りしていたら発狂モノでした。

●クイズです。この太陽電池は何セルでしょう?

10月 11, 2005 FAQ(独立型太陽光) | | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.08.18

インバータ論

lade  ブログの利便性に頼って2台のパワーインバータの写真をアップ。上は最近流行りのトランスレス型。下はトロイダルトランス型。
上のは従来型のシーメンスのトランス入りインバータなどに比して豪快なまでに安くて、小さくて、デビュー時には飛び上がるほど嬉しかった。やっと独立型もお値打ちになったなぁって。送電線の来ていない僻地の方方もやっと超高コストから少しだけ解放される。ってそう思った。

でもやってみるとそうでもない。上のようなトランスレスタイプ(この製品を特定するわけではないが市販トランスレスタイプの属性)はラッシュカレントやちょっとした誘導雷であっさり壊れてしまうのだ。マイコンばりばりだからかどうか、理由はわからないけど壊れやすいのは事実だ。

だからどんな負荷をつなぐかわからないような、実用一辺倒の山小屋や初心者ホビイストには向かない。実用の視点から言えば、システムを使う人を教育するコストの方が高いのだ。売る方にも問題がある。日本語説明書を送りつけて売り切りでほったらかしにしていれば利用者はすぐに定格を超えた大容量ポンプやハツリ機などの大容量負荷をつないでブチ壊してしまう。売る方も、ラッシュカレントについて口頭説明やレクチャが要るんじゃないの?ちゃんとやってる?

lade2一方、下段のはトロイダル入り、高いけどやっと出会った逸品。これはすごいんだ。ラッシュカレント3倍は大丈夫。これになってから新人の使用者が大電力を取り出しても壊さなくなった。修理依頼が格段に減ったのである。でも、余談ながら、2000年のケミコン問題の頃にはコイツもはまってしまって私も恥をかき、大赤字をコイたが(笑)

ここで独立型と系統連系型の決定的な違いをお話しなければならない。
私のHPをつぶさにご覧になった方はお気付きだと思いが、住宅系統連系などではトランス入りはあまりおすすめしない。実効率がトランスレスタイプより低いのだ。でも系統連系の場合、太陽電池が発電するがまま。つまり設計に間違いがなければ過負荷がありえない。つまり運用者の不注意もありえず、過負荷で壊してしまう可能性が無い。だから効率の良いトランスレスが、値段さえ見合えばお得。(でもわが国の場合、なぜかトランス入りの方が値段が安い。すごい矛盾だ。トランスレスメーカーが儲け過ぎ??)

一方、独立型の場合は、使うのは人間なのでどんなにすぐれたマニュアルがあっても、やっちゃうんだな、これが。どうしてもローコストでトランスレスを納品したい場合も、マニュアルも読まない人が居ればそれまで(つまりやたらに壊れる) だから、定常負荷、自動運転の場所でしか安心して納品できない。でもトロイダルなんて銅の塊だし筐体がでかくなるからか、値段が高い。昔戻りだ。

いいわけそのものだけど、どんなに真心こめても、これらのことを説明するの、死にそう。
やっぱり目の前の安さが正義か??
イニシャルコストに左右され、何度も壊し、不稼動システムを散らかし、結局は高いお金を払ってしまう自治体やユーザーが悲しい。
私が声を上げても、説明が届かないのは私の能力不足だなぁと痛感する。

同業者の皆さん、そろそろ不稼動システム、早期故障システムを減らしませんか?
目の前の安易な安さで迫るのは、簡単だし、その場の人の心を動かしはするけれど、もう少し注意して消費者の将来コストを見てあげないと世の中は太陽光発電システムへの期待と信頼を落としてしまいます。

とてもシツコイけど、市販独立型トランスレスパワーインバータにもう一言。
下の写真を見ればわかるとおり、コイツには、入力側ケーブルが無い。KIVも太物で短い切り売りは高いんだぞぉ~。もうひとつ。出力にコンセントだけってのはなんだこりゃ。配線できないジャン。コードリールを毎回運べってこと?利用者の人件費、馬鹿にならないよ。
メーカーは趣味人相手を超えようとしないってこと?
でも、これイギリスでのレビューではナンバーワン(笑)
日本人もこうした機器の特徴や癖をわかって使えば、いいんだけど、そのための教育に販売者はかかわっているか?何か取り組みをしようとしているか?売れればいい、はやっぱりアカンのじゃないか??

ヘリコプター代、ブルドーザー代、工事屋の工事費代、僻地でのシステム維持コストって、販売店が考えるほど甘くない。
だからこそ、長持ちするものを納めなくちゃならんのでは?
弊社のインバータ、その実用ではチト扱いにくいですよ。そう言って競合品を紹介する勇気は?企業は儲けなければ生きてゆけないけど、環境のこともあるんだし、ゴミばかり出しているわけにも行くまい。

もちろん、誤解を避けるため言うけど、独立型トランスレスも商用電力が来ているところやホビイストは好きに使えばいいと思うし、私だって状況次第でおすすめする場合がある。

8月 18, 2005 FAQ(独立型太陽光) | | コメント (9) | トラックバック (0)

2005.08.16

よく言う3点切りとは?

sma3p図に見るように3PのDCブレーカーの3接点を用いて一線電流を遮断する方法です。太陽電池などの直流は交流とは異なり0Vになる点(ゼロクロス)が無いためブレーカーを遮断してもアークが引きやすいのです。これでは点検、運用上の支障が出ますのでアークが切れやすいよう3点の接点を通じて開閉を行うのです。
購入時は必ずDC用を指定してください。漫然とAC用を使うと快晴時には遮断できないことがあります。
なお、この図はSMAが提供している系統連系の回路図です。

3pdcまた、太陽光発電システムの点検や試験で「短絡電流測定」という作業を行うことがありますがこの際にも3点切りがあると便利です。
うっかりありあわせの1点切りブレーカーで短絡させると開路時にジジジ・・・とアークが継続して驚きあわてることになります。単一回路電流は4インチ、5インチ、6インチとセル面積の大型化につれ大きくなっているますからこれからはますます恐怖度が上がります。
やけどや感電事故の無いよう、点検用品はしっかり用意しましょう。筆者は1回路ごとに短絡電流を採ってこの際に回路のメガーも採っています。

写真はもう少し低電圧のシステムに使っている2点切りの例です。マイナス側も1点切りで開閉しています。だいぶ古いシステムですし改造が繰り返されているので配線はグチャグチャになりつつあります。独立型の場合はゆとりを持った配線をしないと気が変わった時にいじるのが大変になりますね。

8月 16, 2005 FAQ(独立型太陽光) | | コメント (6) | トラックバック (0)